秋のニュースに想う

浅井 孝郎*
記録的な猛暑が漸く過ぎてホッと息つく間もない十月末、朝晩は急に冷えこんで来た。仲間内では「今年は、夏から秋を一足飛びに越して、冬の訪れになってしまうようだね」と話し合っている。
昔から秋と言えば、風情ある紅葉の景色、伝統的なお祭り行事、美味しい旬の味覚などその土地ならではの、様々な風物詩が見受けられて来た。その多くは大切に継承され、親しまれて存在しているだけに、秋の深まりを楽しみたいと、ひたすら願っているのだが、如何かなと案じている。
先日テレビ番組を見ながら、びっくりさせられた光景が二つほどあった。
一つ目は、ハローウインと言う名のお祭りである。我が国ではクリスマスをはじめ、諸外国の歴史ある行事が、いつしか取り入れられ、同化されているが、このようにカボチャを形どって賑わうのはいつの頃からであろうか。人によってカボチャに対するイメージは様々だと思うが、現在のようにお祭り騒ぎの主役になろうとは、かつては考えられなかったことである。やはり時代とともに移り変わる風習なのだろうか。
二番目に驚いたのは、なんとも微笑ましいペットの「七五三」祝いに詣でる人々の様子が報ぜられた映像であった。それぞれ可愛い晴着を着せての宮参りには、笑えず、怒れず唯々感心して眺めるだけだったが、これもまた、新しい時代の到来なのかも知れない。
去る十月中旬に、妻の出身高校の同窓会が開かれた。年次総会とあって、在京四十名に加えて、各地からの参加も多く見られたようである。そのなかに郷里佐賀のお一人から、愛犬「茶くん」を連れて上京したいのだが、世話役と会場の許可を得たいと相談があったらしい。理解ある返事を貰って嬉しい参加が実現したようだが、三時間の宴の間、愛犬はワンとも鳴かず、おとなしくしていたようで、人間の子供以上と評判だったと聞いた。
バランスのとれた今どきのドッグフードで飼われているワンちゃんには、人間の食するフレンチなどは目じゃないのかも知れない。まさに時代である。
この拙文を書いている十月三十日に、プロ野球巨人軍の往年の大スターであり、名監督だった川上哲治氏の逝去が報ぜられた。
時あたかも日本シリーズ巨人対楽天第四戦の日であった。序盤からリードを許していた巨人が、楽天投手陣の乱調から、プロとして考えられない二桁数の四死球を得て、逆転勝ちしてしまった。天国からの声援があったのかなと、ひとり合点をした夜長であった。
天安門自爆テロをはじめ、難しい出来事や大きなニュースも色々だが、高齢を理由に、明るい方だけを向いて生きようかと、身勝手な想いである。 (十月三十日 記)
テーマ 自由題
 
 
 
 
 
* 八期生浅井伸子さんのご主人です。(HP管理者)
 
 
 
 
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