勘違いもご愛敬

浅井 孝郎*
私は、パソコンと携帯電話両方のメールを愛用している。しかし手書きのハガキと封書の出状は、それを上回るとも劣らない。
手紙を書くのは苦にならず、寧ろ、信条の一つと言えるかも知れない。妻が誉めてくれるのは嬉しいが、その殆どを、私に押し付けてくるのは聊か閉口している。まあこれも、ご縁でしょうかと諦めている。
そんな私にとって、去る六月一日からの、郵便料金の値上げは一大ニュースであった。ハガキ52円から62円は、他人様が感じる以上のショックだった。
普段から、ハガキは五十枚ほど買い置きして、書きやすいようにパソコンを使って十本の縦線を引いている。
今回の値上げで10円切手が必要となり、買い置きしてあったハガキの枚数に合わせて五十枚の切手購入を、買い物に出かける家内に頼んだのだった。
私が六月当初から大きな勘違いをしていたのは、封書の切手代も同じく10円値上げの92円になったと思い込んでいたのである。ご丁寧にも、月中の何通かの出状には、都度に10円切手を貼付していた。今回、10円切手を、かなり購入するので、あわせて封書送料の差額として、82円切手を20枚追加するようにお願いした。
話が前後するが、六月末に、家内が友人の作品展で銀座の鳩居堂ホールに出かけた折に引出物として、同所の便箋、封筒、絵葉書のセットを頂いてきた。私にとって最高の品として、喜んで受け取ったのだ。ためか、余計に張り切っていたのも事実だった。
家内が、最寄りの郵便局に切手などを買いに行ってくれた七月四日、帰宅するや否や、笑い転げて話してくれた。
「バッカみたい。料金値上げは、ハガキだけだって?。封書の切手代は据え置きのままらしいわ。先月何通に、切手貼って出したんだっけ。」
「ウヒャー。ほんとうかい!!。」
二人で大笑いして切手の整理を済ませた。翌七月五日に読売新聞の朝刊を読んでいた。何気なく投書欄「気流」のひとこまに、目を遣ったとたんに飛び上がる思いがした。
「六月以降、自宅あての封書に切手10円が余分に貼ってあるのが何通かあった。料金値上げがハガキと同様に思っている人が多いのではないだろうか。周知徹底を図る必要があるのでは」と言った主旨だっだ。
昨日の今日の事である。文字通り余り身近な話題に申し訳ないと思いながら吹き出してしまった。自分だけではなかったと言う妙な安堵感、親近感のような気分が頭と心の中を通りすぎていった。
最も身近な公共料金のテーマで、今回のように、一か月を超えての不注意によるミスは初めてで、のんびりさに笑ってしまった。
* 八期生浅井伸子さんのご主人です。(HP管理者)
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