「アルファ碁の勝利が示すもの」を読んで

H28/3/21
石井俊雄
3月17日の毎日新聞朝刊に面白い記事を発見した。
「坂村健の目」というコラムに書かれた記事で「アルファ碁の勝利が示すもの」である。
エッセンス部分を抜き書きすると、次のようになる。
  1. 事実1:4勝1敗と堂々のAIの勝利
    人工知能(AI)と人間の囲碁棋士の5連戦--グーグル・ディープマインドチャレンジマッチは、 開始早々AI側「アルファ碁」の3連勝。4戦目では人間が一矢報いたものの、 最終戦はアルファ碁が取り、4勝1敗と堂々のAIの勝利となった。
  2. 事実2:コンピューターには計算力はあっても直感力はなかった
    オセロやチェスなどのゲームではコンピューターの力業で手を読む方法が使えたので、 技術進歩で計算力が上がることで勝てるようになった。 しかし将棋より1兆倍を14回繰り返すほど複雑と言われる囲碁には、 力業は通用しない。 プロ棋士は直感で盤面の良しあしがわかるが、コンピューターには計算力はあっても直感力はなかったからだ。
  3. 事実3:AIは人間の直感を身につけた
    そこでアルファ碁ではニューラルネットワークという技術で、いわば人間の直感を身につけさせた。 ニューラルネットワークは「神経回路網」という言葉通り、人間の脳をまねる技術だ。
  4. 事実4:AIは学習という手法で自ら切磋琢磨
    アルファ碁を開発した英国のディープマインド社は、ここにさらに強化学習という手法を組み合わせた。 経験から学習できるので、人間の棋譜を学ばせた後は自らのコピーと延々と戦わせ、 その切磋琢磨(せっさたくま)で独自の定石を開発するまでに至ったわけだ。
  5. 事実5:人間がAIの勝因を理解できない
    4戦目で負けたことも経験として学習される。 AIの癖に人間が慣れたから4戦目以降は勝てる、というほど単純ではない。 従来の決定論的プログラムとは概念から異なるので、学習後の神経網を解析しても、 開発者でさえなぜ勝てているかはっきり説明できないというぐらいだ。
  6. 事実6:AI失業の予想が増大
    仕事特化で考えるならAIは人間より優秀になり得る。 しかも李九段がいくら優秀でも一人きりだが、アルファ碁はいくらでもコピーできる。 自動運転にしろ、多くの職種がAIに取って代わられると予想されるのもそのためだ。
  7. 事実7:人間だけでAIと戦わざるを得ない
    いつか「その日」は来る。しかしもう少し余裕はあると思っていた。 アルファ碁の勝利はその日が意外と近いことを示している。 その日にあわせて社会の枠組みを変えられるか--社会を変えるゲームはまだ人間だけで戦わざるを得ない。
以上、抜粋終わり。
以降、少し私見を書こう。
  1. AIの問題点の本質は何か
    それは、人間がAIの自己学習のスピードに追い付けないこと。
    AIのニューラルネットワーク(「神経回路網」のこと)は自己学習して刻々、猛烈なスピードで賢くなる。 しかも、24時間働いても疲れない。
    人間はAI相手にフェアーでない競争を強いられることになるが、それを拒否する力はない。
  2. 予想1:AI依存症の脅威
    ニューラルネットワーク(「神経回路網」のこと)が、自ら学習して自己成長してくると、人間は、 結果だけを受け入れるしかなくなると思われる。
    結果、人間はAI抜きでは生きていけなくなるだろう。
  3. 予想2:余暇増大の脅威
    もの作りはAI任せとなる。 安全保障も例外ではないだろう。
    となると、人間は嘗ての貴族のように閑を持て余すだろう。
    これも昔テレビで聴いた話だが、「監獄に入ってる人間は、閑を潰すためならどんなことでも厭わない」とあった。
  4. 予想3:人類劣化の脅威
    AI依存症と余暇ばかりという人生から、人類は活力を失くし劣化するだろう。
  5. 予想4:ヒット商品は?
    暇つぶしの産業が注目され、旅行など、大流行りとなるだろう。
    スポーツももてはやされるだろう。人間相手ならだが。
    ゲーム業界は、人間相手で生き残るだろう。
    芸能・芸術業界は、人間相手で生き残るだろう。
  6. 予想5:国家は生き残れるか?
    AIが仕切るとなると、国家の意味はなくなり、世界連邦が成立するだろう。
    地球人一人一人を網羅した戸籍制度ができ、それをAIが管理運営するだろう。
  7. 予想6:人は幸福になるだろうか?
    食って寝るだけの人生に幸福など無いだろう。
  8. 予想7:AIは神となるだろう
    人類が生き残るとしたら、それはAIを神とする場合だろう。
    そして実際の支配者は、AIテクノクラート共からなる神官だろう。
    昔返りするところが面白い。歴史は繰り返すのだから。
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