- 発端:天皇「生前退位」問題とは
この件に関しては、去る8月8日、
NHKテレビで発せられたビデオメッセージでの天皇陛下の「お気持ち」を聴き、驚いた。
何故なら、天皇には、生前退位が認められていないという事実を知ったからである。
我々一般の国民は、自分の意志で辞めることができる。その根拠は、基本的人権にある。
だが、天皇には、その権利は認められていないようである。
その根拠は、日本国憲法や皇室典範を見てみても、規定はないからだ。
となると、天皇は、終身現役を義務付けられた、言わば不自由を強制された人ということになる。
この非道さが、8月8日のビデオメッセージとなったと思われる。
- ビデオメッセージが発せられた原因
ビデオメッセージにて退位意向を強くにじませなければならなかったのは、制度に不備があるからである。
制度とは、憲法に規定された制度のことである。
不備とは、天皇と基本的人権の関係が不明な点にあると思う。
- 文芸春秋9月号を読んだ理由
- 統計用
天皇と基本的人権の関係について、一般の人がどう思っているか知るため、
文芸春秋9月号の特集記事に寄稿した人を一般の人の代表と見立て、
各々の寄稿記事の中にどの程度「基本的人権」という言葉を使っているか統計をとるためである。
- 天皇陛下と基本的人権の関係について新たな知見を知る
ちなみに天皇陛下と基本的人権の関係については、昭和21年元旦に天皇の人間宣言が行われ、
新憲法の下では、すべての人が基本的人権の持ち主として尊重されるようになったのであるからして、
天皇も人間であり、基本的人権の持ち主なのだから、その人権も尊重されるべきだと、私自身は理解していた。
だが、そうであれば、憲法なり、皇室典範にその記述があって然るべきなのに、調べた限りでは、
一言も触れてないことを発見し、私は法律には詳しくもない普通の人に過ぎないので、
何か自分の知見不足による誤解ではないかと疑った。
有名月刊誌である「文芸春秋」が取材の対象とするほどの人たちなら、
天皇陛下と基本的人権の関係について、何か私の知らないことを知っているのではないかと期待して、
この記事を読んでみたという次第である。
- 個別の記事データの表示
色々書かれているが、ここでは、「基本的人権」という言葉を使っているかどうかに搾った。
何故なら、「基本的人権」は憲法が保証する国民の権利だから、そこさへ押さえれば、
大勢は分かると思ったからである。
- 立花隆氏の「天皇制の限界」という記事
:立花隆氏は「基本的人権」という言葉を使っている。
- 半藤一利、保坂正康両氏の対談「我らが見た人間天皇」という記事
:半藤一利氏は「基本的人権」という言葉を使っている。
- (天皇の「生前退位」について)「私はこう考える」という記事
- 渡辺和子氏は使ってない。
- 柳田邦夫氏は使ってない。
- 末盛千枝子氏はは使ってない。
- 磯田道史氏は使ってない。
- 明石元紹氏は使ってない。
- 所功氏は使ってない。
- 奥野修司氏の「秋篠宮が『皇太子』になる日」という記事
:奥野修司氏は使ってない。
- 友納尚子氏の「雅子妃がお元気になられた」という記事
:友納尚子氏は使ってない。
- 結果
- 「基本的人権」という言葉を使っている人は11人中2人、率にして18%。2人とは、立花隆氏と半藤一利氏である。
- 「基本的人権」という言葉を使っていない人は11人中9人、率にして82%。
- 天皇陛下と基本的人権の関係について、私の知らない事を気づかせてくれるような特段の記述はなかった。
- 評価
- 憲法との乖離
「基本的人権」への言及率が18%では、我が国民は立憲民主主義を奉じているが、
その要の憲法は、国民に定着していない。
- 基本的人権への認識不足
「基本的人権」への非言及率が82%では、基本的人権に対する権利意識が定着していないと言わざるを得ない。
- 「基本的人権」への言及率が低い原因
「基本的人権」への言及率が低いのは、国民が論理的思考に欠けているからと思はれる。
即ち、演繹的思考に欠けているのである。
演繹的とは、普遍的命題から特殊命題を導き出すこと。
この場合、普遍的命題とは憲法に書かれた基本的人権、特殊命題とは天皇の「生前退位」である。
我が国民は、優秀だが、思考方法は必ずしも洗練されているというわけではない、と言えるようだ。
- 付言
調査方法は、文章の内容を精査したものではなく、単に、
「基本的人権」という言葉を使っているかどうかであるから、結果は、あくまで統計的なものであり、
個別データの内容とは必ずしも一致するとは限らないものであることをお断りしておく。
中には、言葉の見落としも無しとはしない。
このような、指定のキーワードを含むか否かでデータを選別する調査方法は、
ビッグデータ等の解析では、広範に利用されている情報収集・処理方法であろう。
だから、「基本的人権」というキーワードによる統計結果は有意だと言えると思う。
- 私なりの結論
-
「文芸春秋」が取材の対象とするほどの人たちの憲法、基本的人権への理解程度、思考法の洗練度、
などの点で、頼りがいのない人が多いことがわかった。
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立花隆氏と半藤一利氏が基本的人権に言及していることから、次の2つのことが分かった。
- 天皇と基本的人権の関係は、関係ありであること確信することが出来た。
- 立花隆氏と半藤一利氏は少なくも知性派であることが分った。彼らの書き物なら読む価値がある。
- スケルツォ(冗談)
皆さんへの案内メールで、昔聴いた「青い牧場」にリンク張ると書きましたので、リンクを張ります。
この曲と標題とは無関係です。YouTubeで、たまたま73年振りに、この曲に出会ったタイミングで、
標記を書いただけです。
だから、強いて言えば、息抜き、でしょうか。
クラシック音楽で言えば、「スケルツォ」ですかね。
この意味は、イタリア語で「冗談」ということだそうです。
この言葉を音楽に取り込んだのは、ベートーベンが最初だそうです。・・・気分を変える、という感じでしょうか。
面白い曲ですよ。ここをクリックしてください。
私は、歌詞の中の最後の部分、「・・・売られた子山羊は子山羊はメエメエ帰ってくる」という部分を憶えていたので、
それをキーワードにネットで検索してみたら、ヒットしてきました。