「健康診断が私たちを不幸にする」を読んで

石井俊雄
 
文藝春秋11月号、現在の最新号だが、これを読んでる内、面白い記事を発見した。 と、同時に、かなりの部分、同感する記事でもあった。 だから、お節介ながら、そのアブストラクト(抜粋版)を作ってみた。 記事の標題は、「健康診断が私たちを不幸にする」だ。 ざーっと目を通して頂き、面白そうだと思ったら、文藝春秋の本文をじっくり読んでみて欲しい。 医療費高騰の絡繰が見えてくるかも知れない。 更に、自分の今後の生き方にも有益な情報が得られるかもだ。 これが、大きい。何しろ、最後まで尊厳を失わないであの世とやらへ行きたいから。
  1. 問題提起
  2. 比較試験
  3. 介入群で死者が増えた原因として、クスリの影響のデータをみる
  4. 問題点
  5. 各問題点の概要
  6. 対応策
  7. 理想とする死に方
以上が、文藝春秋11月号のトップ記事「健康診断が私たちを不幸にする」のアブストラクトだ。 抜粋だから、小生の作は無い。全て受け売りである。 何故なら、私見を混ぜたら、読者にとって、どこが文藝春秋でどこが私見かわからなくなるからだ。 それでは、本文の魅力を知る上で障害となり、結果としてHPに取り上げた意味が無くなると思う。 でも、少しだけ私見を書かせて欲しいので、それを峻別して記すことにする。 以下が私見です。
6.対応策で3つ目に「いきいきとした生活」とあるが、それには幾つもの方法があると思うが、 手軽な方法として小生がお勧めしたいのは、何かを書く、という方法だ。 一例を挙げれば、この記事。これは、図書館でたまたま見かけた本の中の一文を要約し紹介するというスタイル。 これだと、余り、時間をかけず一文を作ることができる。 そして、それを作る間、頭が回転しハッピーでいられるのである。 だから、なんでもいいから、自分が面白いと感じたことを文章にして、本HPに掲載する、というやり方は、いきいきした生活の実践ではないかと思うのだ。 是非、試していただきたい。
もう一つ私見を述べる。それは、7.の中の「孤独死」のこと。 確かに、孤独死は寂しい死に方ではある。でも、自立、ということに価値を置くとしたら、 立派な死に方だと思う。 世間的には、非難されないまでも、哀れみを以て云々されるやも知れないが、 そんなのは表面だけの見方だろう。 小生くらいの歳になると、表面だけしか見ない見方に、苛立ちを覚えてしまう。 本質は何か、これを見通さないと、浅薄な正義だけが残ってしまう。即ち、自己満足という奴だ。 精々、自戒としなければならない。
この論文、文藝春秋の記事のことだが、を読んで、一番の驚きは、「健診は無効で無意味」という記述。 その次の驚きは、「総コレステロール値が高いと体に悪いという証拠はなく」、 「LDLコレステロールや、中性脂肪にも、高ければ体に悪いという根拠はなく」との記述。 これは、我々が一喜一憂する健康診断の結果の信憑性に疑問を投げかけるものだからだ。
更に、我々にとって、そもそも、「比較試験」なる用語に全くの馴染みがないこと。
というのは、小生のような理系思考の考え方によると、基準値の設定には、先ず、実験が先行し、 その結果を受ける形で、基準値が設定される、となるはずだと思っているわけだ。 なのに、現実は、その実験たる「比較試験」が行われていないようだ。 となると、基準値はどうやって設定したの?という疑問が生じるのだ。 役人と医療関係者(医者や製薬会社、ジャーナリスト、 政治家など)が適当に鉛筆舐め舐めでっち上げたとしか思えない。 となると大問題だ。何故なら、科学的根拠もなく、一部の人間だけで、恣意的に基準値を造った、 となるからだ。
この値がもたらす影響は大きい。数値を少し動かせば、たちまち年当たり数千億円の金が動く。 本文中での記述によれば、「高血圧の診療基準は、以前は上の血圧が160以下で、 下の血圧が95だったのが、2000年に日本高血圧学会が突如、根拠となるデータもなく、 上を140、下を90に切り下げたのです。・・・結果、降圧剤の売上も、 以前は2000億円だったのが、2008年には1兆円を超えました。」とあるように、数千億円、 それも年当たりの影響があるのだ。 これって、当に巨悪だよね。これでは、三億円事件の犯人なんて餓鬼だ。 何のリスクも負わず合法的にする金儲け、・・・呆れてものが言えないくらいだ。 それに、この搾取モデル、リピータブル(繰返し可能)だ。 ある基準値を選んで、数値をちょっとだけいじると、 濡れ手に泡の大金が手に入る、というノンリスク金儲けモデルだからだ。
この問題、この文藝春秋の論文を契機に、大々的に社会問題化すべきだと思う。 今すぐが駄目でも、いずれ、大きな問題に発展するだろう。 そうでないと、いずれ破綻するはずだ。かつての軍部独走が破綻したように。
それにしても、国の指導者レベルの知性が低すぎる。・・・段々劣化しつつあるのだろうか。 小生も身近な問題としてそう思った。 ・・・歳とると、それなり色々なことが見えてくるものらしい。巨悪から小さな悪まで。 望んでいるわけではないのに。(2014/10/29 追記)
大分時間が経ったが今少し追記しよう。 それは、物事をどうやって決めたらよいかという問題だ。 例えば、「高血圧の診療基準」をどうやって決めるのが正解か、ご存知ですか? 小生は、比較試験の結果に従う、という方法が正解を得る方法だと思っているが、 本当にそうだろうか。 現に、我が国では、比較試験抜きで決められている。 この比較試験抜きで決める方法がよろしくない、としたら、どうしてよろしくないのか、 どなたか分かりますか? 欧米では、明らかに、比較試験の結果に従うという方法に依っている。 それは「実証主義」と呼ぶとすると、我が国で行われている方法は何? 「実証主義」に変わりうる原理原則があるのだろうか?無いのだろうか?・・・さっぱりわかりません。 政治学者か厚労省の役人にでも訊いてみたい。・・・多分、知らないだろう!意識してないと思う。 (2014/11/9 追記)
コメントはこちらへメールして下さい。その際、文中冒頭に「HPコメント」と記して下さい。 Email
 

<コメント欄>   当欄は上記のメールをコメントとして掲示するものです。