私見
以上が、「世界」4月号の記事「原風景を復興する」からの抜粋だ。
抜粋だから、小生の作は無い。
何故なら、私見を混ぜたら、読者にとって、どこが「世界」からの記事でどこが私見かわからなくなるからだ。
それでは、本文を知る上で障害となり、結果としてHPに取り上げた意味が無くなると思う。
でも、少しだけ私見を書かせて欲しいので、それを峻別して記すことにする。
以下が私見です。
人は生まれてこのかた、ある環境に囲まれて育ったはず。
それが、一朝にして全く新しいものに変わったとしたら、どんなものだろう。
おそらく、困惑し途方にくれるのではないだろうか。
乗り越えられる人もいれば、戸惑いのまま彷徨う人もいるだろう。
三井所さんは、環境が激変する人への優しい環境を提案されているのだと思う。
それも、実現可能にして持続可能な解としてだ。
感じられるのは、「優しさ」だな。素晴らしい。
また、建築教育では、非常時に必要とされる技術が必要と提案されている。
「住」という観点から、素晴らしい提案だ。
この他、小生、復興とは何かと考えるとき、「食」もあると思う。
被災者の生業を担保すること。一言で言えば、食えるようにする、ということだ。
そのところは、今、自己責任で片付けられているが、何とか保全できる方法はないものだろうか。
もう一つ、「住」に関しての願望だが、歴史認識を忘れない、だな。
思えば、三陸海岸は、過去、何回も大津波に襲われている。
よって今回のことは、その史実を忘れていたとしか思えない。
数千人の犠牲者を出し、中でも、大川小学校の場合は悲劇の極みだ。
泣かないようにすべきだろう。方法は、歴史認識の継承だ。
この忘れっぽさ、短所でもあるが長所でもある。でも矢張り、短所>長所、だな。
この間、亡くなられた陳舜臣さんが、「日本的中国的」というエッセイ集に書かれているが、
氏に言わせると日本人は、応急措置・・・悪く言えば、局所弥縫策が得意、とか。
最近のテレビ見てると、ますますその得意技が冴え渡ってるように見える。心しなければと思う。
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コメント
三井所清典
ありがとうございます。
「原風景を・・・」を読んでいただいたうえに、友人の皆さんに内容の紹介、コメントまでしてもらって
感謝のいいようがありません。
石井俊雄さんが言う通り、食の復興はとても大事です。そのために「生活復興」を重視したいのです。
山古志の場合は、棚田の復興、錦鯉の養殖の復興、酪農等のための牛飼いなど仕事の復興に出来るだけ早く
村民達が着手するのが良いと思いました。そのためにも住宅は安く、早く、小さめに地元で手慣れた方法で
復興する事が望ましいと思った次第です。
また、最近強く感じている事は、日本人にとって必要な日本の建築学、日本の各地のふさわしい建築とはどんなものかを
知る建築学が欠けている事です。
ご存知の通り、尊敬する先達辰野金吾以来、日本人は殆ど西洋建築学ばかりを追っかけて来ました。明治維新の一等国への上昇、
不平等条約の解消など国の時代の使命を背負った人々の涙ぐましい努力は大いに多とします。忘れてはならない事です。
ただ、国際的地位が上がり、充分豊かになり、日本人の心の一部は世界に高く評価されている現在、日本の良さを
もっと上手表現できるようになりたいと願っているところです。
それを私は佐賀・有田のまちづり以来、「地域に根ずいた住まいづくり、まちづくり」といっています。
仮設住宅の建設にも復興住宅の建設にも、その配慮を欠かさないようにしたいと願っています。
絶滅危惧種となっている日本の建築に携わる匠たち、大工、左官、瓦つくり・瓦葺き師、畳屋、建具屋、襖屋などの匠達に
仕事の機会を増やす運動にご協力下さい。
世界遺産になった「和紙づくり」に勝るとも劣らない日本の無形文化財と思います。
「生業の生態系の保全」に関わる事です。
(2015/03/15 19:13)