毎日新聞書評欄から2題

2020/01/28 石井ト
  1. イントロ
    2月2日(日)の毎日新聞朝刊の書評欄から、興味を覚えた書評を選び所感を書いた。 原文も読まないで、書評だけから書評するなどおこがましいが、 速報性という意味でご容赦願います。
    • 「時間は存在しない」 著者は、カルロ・ロヴェッリ、冨永星訳。
    • 「21Lessons」 副題として「21世紀の人類のための21の思考」とある。著者は、ユヴァル・ノア・ハラリ という歴史学者で柴田裕之訳。
  2. 抜粋
    少し、主要と思われる箇所を抜粋してみます。
    • 「時間は存在しない」から
      • 「時間は存在しない」という標題に合った議論がなされる。 その結論は「存在するのは、出来事と関係だけ。基本的な物理学における時間のない世界なのである」。
      • イタリア人は生きることを良く知っている。日常の利害得失、愛憎を離れて、考えることを真に楽しみたい人に、是非お勧めしたい書物である。
    • 「21Lessons」から
      • 前々作「サピエンス全史」で過去を振り返り、前作「ホモ・デウス」で人類の未来を紹介した著者が、本書では今現在の人類の姿を白日の下にさらす。 21世紀にITとバイオテクノロジーが人類に突き付けてくる課題は、前の時代に蒸気機関や鉄道や電気が突き付けてきた課題より、はるかに大きいという。
      • ITとバイオテクノロジーの開発は人間から仕事を取り上げかねない。 しかし、安定した収入を得ることだけが人生の目的ではない。 むしろ、時間の余裕に恵まれて有意義な人生の意味を理解し、快適なコミュニティーの中で生きることができれば、 閑暇な時間はむしろ恩恵となるかもしれないのだ。
  3. 所感
    • 「時間は存在しない」
      1. 出来事について
        「存在するのは、出来事と関係だけ」という結論の「出来事」について感じたことは、
        出来事とは動きであるから時間が含まれている。 だから、時間がないとは、出来事がないというのに等しい。 なのに、著者は出来事は存在すると言っている。 だから、時間がないとはおかしい。
        となる。書評を読んだだけでは書評者を評したものにすぎなくなるが、速報という意味はあるだろう。
      2. 関係について
        「存在するのは、出来事と関係だけ」という結論の「関係」について感じたことは、
        関係とは時間変化という意味だ。だから関係には時間が含まれている。 だから、時間がないとは、関係が無いというのに等しい。 なのに、著者は関係は存在すると言っている。 だから、時間がないとはおかしい。
        となる。書評を読んだだけでは書評者を評したものにすぎなくなるが、速報という意味はあるだろう。 それに、「基本的な物理学における時間」なる時間の定義らしい書き込みも意味深だ。少し持って回ったような書評かも知れない。
      3. 「イタリア人は生きることを良く知っている」について
        ローマ帝国を打ち立てたローマ市民の後裔たるイタリア人は、世界の頂点を極めて以来2000年、その経験を通して蓄積した生き方を生きているのだろう。 一度もそんな経験のない国民には無い心の余裕があるのだと思う。日常の利害得失、愛憎を離れて、考えることを真に楽しみたい人には恰好の生き方だと思う。 特に我々シニアには。
      4. 時間論について
        時間論についてはいろいろ本があるようだが、イマイチはっきりしない。だが、凄く面白いテーマだと思うから、手に入れば読んでみたい。 ・・・ただし、方程式抜きで。
    • 「21Lessons」
      確かに、ITとバイオテクノロジーの開発は人間から仕事を取り上げかねないというのは不気味だ。 しかし、安定した収入を得ることだけが人生の目的ではない。 むしろ、時間の余裕に恵まれて有意義な人生の意味を理解し、快適なコミュニティーの中で生きることができれば、 閑暇な時間はむしろ恩恵となるかもしれないというハラリ氏の希望を希望として生きて行こう。ジタバタしても始まらないから。やけくそ!だよ。
      日本語への訳者は柴田裕之氏。彼は、前々作「サピエンス全史」、前作「ホモ・デウス」でも翻訳を担当したご仁だし、結構、うまく訳しているので、 日本語版も読みやすいと思う。手に入り次第読んでみたい。
 
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