核融合:我が太陽

石井ト
今、世の中は衆議院選挙の最中だが、その一環だろうか数日前、自民党の42頁にも上るパンフレットが投げ込みでポスティングされていた。 標題に「新しい時代を皆さんとともに。」とある。標題と思しき見出しに句読点が付してあるのは珍しいと思ったものだ。 その中から、特に目を引いた部分を抜き書きしてみようと思う。小生、別に自民党に肩入れするとものではないが、 書いてあることが、小生の高校生以来の注目点だったから、そうしてみたもので、政治的意図からの作文ではないことをお断りしておく。その言葉は「核融合」。
その言葉が書かれたページの見出しは「大胆な『成長投資』で確かな未来を拓く」であり、箇条書きされた各条の主旨概要は次のとおりだ。
  1. 宇宙産業市場
  2. 新たな産業フロンティア
  3. 技術成果の有効活用
  4. AIの活用
  5. 量子コンピュータ
  6. カーボンニュートラル
  7. クリーンエネルギー
  8. 核融合
  9. 国際金融ハブ
  10. オープンイノベーション
  11. インフラの老朽化
この第8項が面白い。いままで、政治家から聴いたことのない言葉だ。 この「核融合」について、ネット情報(WebLio)から概要部分を引用してみた。次のとおりだ。
1920年代及び30年代に、ジョン・コッククロフトに代表される粒子加速器の研究に従事していた物理学者たちは、 陽子(水素原子核)や他の軽い核に高いエネルギー(数keV)を与え入射粒子として加速し、標的となっている軽い核に当てると、 核の電気的反発力や核力によって入射粒子は破壊を伴いながら、標的と融合し大きなエネルギーが解放されること、 すなわち核融合反応(nuclear fusion)を発見していた。
この大きなエネルギーは、アインシュタインによって主張された関係式 E = mc2 を満たす形で、 融合した核の質量の一部がエネルギーに変換されているため発生する。
しかしながら、加速器による核融合反応では、少数の核融合物を作るために大量のエネルギーが使用されなくてはならず、 もし実用に供するような連続的な核融合反応を起こすのであれば摂氏数億度もの高温が必要となることから、 以後に発見された核分裂反応ほどには当初は着目されなかった。
上記の摂氏数億度の高温を用いる核融合は特に熱核反応(thermonuclear reaction)と呼ばれるが、熱核反応の燃料としては、 原子核の荷電が小さく原子核同士が接近しやすい軽い核種で反応自体も速いといった理由から三重水素や二重水素といった水素の重い同位体が理想的と言われる。
融合の種類によっては融合の結果放出されるエネルギー量が多いことから、水素爆弾などの大量破壊兵器に用いられる。 また平和利用目的として核融合炉によるエネルギー利用も研究されている。
核分裂反応に比べて、反応を起こすために必要な温度・圧力が高いため技術的な条件が高く、現在のところ、水素爆弾は核分裂反応を利用して起爆する必要があり、 核融合炉は高温高圧によって発生する反応プラズマを封じ込める為の技術開発が困難を極めている。
上記の文章中、重要な部分に下線を施しておいたが「核融合」が実用化されると、人類はエネルギー問題から解放されることになる。我が太陽の出現だ。 何故なら、文部科学省のネット情報によると、
核融合は、太陽をはじめとする宇宙の星々が生み出すエネルギーの源です。 太陽が誕生したのは46億年前のことですが、 今も約1.5億キロメートル先の地球を照らし続けています。 気の遠くなるような長い時間にわたって膨大なエネルギーを生み出し続ける太陽で起きている現象を、人類の手で生み出し、発電等に使用することを目指すのが、 核融合エネルギーの研究開発です。このため、「地上に太陽をつくる」研究とも言われています。 (文部科学省核融合研究より抜粋:詳しくは、ここをクリックのこと。)
とあるからだ。
だが、この核融合技術、カーボンニュートラルはクリア出来ても、温暖化の問題は残るかも知れない。 核融合で生まれた熱量と地球が地球外に放出する熱量がバランスしないといけないからだ。果たして地球の熱平衡は保てるか?新たな問題だろう。 「サーマルバランス」という言葉ができそうだ。
そんな心配や、自民党には色々問題もあるが、「核融合」に言及したのは流石だと思う。是非実現して欲しいが今のところ音楽で我慢するのが精々だ。
ここをクリックのこと。・・・流石パバロッティだよね!
追記(2021/10/29 10:30)
今朝(10月29日)の毎日新聞朝刊を見て、追記することにした。 何故なら、朝刊に各党(9党)の公約一覧が「新型コロナ」「経済財政・消費税」「社会保障・子育て」 「外交安保・憲法」「原発・エネルギー・復興」「その他」の6項目に分けて載っていたからだ。
その中の「原発・エネルギー・復興」欄に注目して見てみたら、「核融合」に言及したのは自民党だけで、 維新が「小型高速炉など次世代原子炉」について政見を掲げていた。その他の党は今あるものを否定するだけで、作る方への具体的な言及はなかった。
一般に、この世は「作って使う」の繰り返しだが、作る方の具体策に言及しないで、使う方ばかりを講釈しても説得力はない。 政見として稚拙で幼稚と言わざるを得ない。
 
 
 
 
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