日米刑事ドラマ比較

2020/10/26 石井ト
このところコロナ禍で家に居るのが多い。
それで、ついテレビを見みてしまうが、スイッチを入れると一番多いのは猫なで声のコマーシャル、 更に、チャネルを捻るとドラマだったりして、中では申し合わせたように登場人物がいがみ合っている。 何をそんなに深刻がってるの?というのが多い。 大したことではないだろうにと思うとみる気が失せる。 スポーツ番組も同じ。コップの中の争いのように見えてしまうから見ない。
それでも、日頃は見ないテレビドラマを2つ見た。一つは「刑事コロンボ」、もう一つは「森村誠一の終着駅シリーズの殺人同盟」だ。
「刑事コロンボ」は、あのネチネチと迫るコロンボ刑事のやり方にうんざりして日頃は見ない。イラツクからだ。 また、邦画のドラマは見ない。作品が暗いから。
だが、暇つぶしに、この2作品を粗々見て、日米の刑事ドラマの比較を思いついた。その結果、標記の文を掲載したので、 ご覧くだされれば有難い。
  1. 日米刑事ドラマ比較の例
    次の二作品を比較してみた。
     
    比較項目刑事コロンボ 森村誠一の終着駅シリーズ
    題名ビデオテープの証言 殺人同盟
    放送日(再)2020/10/21(水) 2020/10/20(火)
    放送日(初)1975/3/2 2009
    主演刑事コロンボ:ピーター・フォーク 牛尾刑事:片岡鶴太郎
    原因怨恨
    証明物証自白
    ジャンルサスペンス人情噺
    なしあり
    テーマソングヘンリー・マンシーニ不明
     
  2. 説明
    • この二つは、いわゆる刑事もので、一見、推理ドラマかと思うが、刑事コロンボの方(以下、「コロンボ」という)は、サスペンス (サスペンスは現実に基づいた人間の起こすもの)、 森村誠一の終着駅シリーズの方(以下、「終着駅シリーズ」という)は、人情噺という方が近い。
    • その根拠は、涙の量だ。コロンボの方はなし、終着駅シリーズの方はありである。
    • 更に、証拠は、コロンボの方は物証、終着駅シリーズの方は自白。・・・自白するところが人情噺たる所以。
    • 犯罪の原因は、コロンボの方はお金、終着駅シリーズの方は怨恨。・・・お金の方が分り易い。怨恨の方が人情噺らしいが、観てて疲れる。
    • 主演は、コロンボの方はコロンボ一人、終着駅シリーズの方は牛尾刑事と同僚の刑事連中。・・・仲間で解決が人情噺らしい。
     
  3. 所感
    • 物証立件と泣き落とし
      コロンボの方の犯人は証拠が見つかるまで、平然としているが、見つかれば従容として受け容れるところがすっきりしている。 泣きわめくこともなく男性的と言えるかもだ。覚悟の上って感じで潔い。
      一方、終着駅シリーズの方の自白に頼る立件は疲れる。白状は泣き落としの結果起ることで刑事の仕事としてはお粗末だ。 本来なら、物証による立証こそ本命のはず。 一種の寝技だ、泣きを入れるから。
      物証立件と泣き落とし、どちらが好きかは、見る人が理性派か人情派かに依るだろう。 因みに、私の家内は人情派のようだ。いつも見てるから。
    • 演技・シナリオなど
      出演者の演技は、コロンボの方は自然体だが、 終着駅シリーズの方は、全員、思いつめたようなのが多い。演技過多だろう。もうちょっと余裕を持たないと、見ていて疲れる。 木樹希林の「はね駒」のような演技やシナリオが失われていると思う。
      演技が画一的だ。・・・役者の自ずから出る演技ではなく、予め決まったスタイルがあるかのように演じている。 例えば、ここは慌てる場面と思えば、他と同じようにドタバタと演じるのだ。泣く場面も同じ。演技に深味がない。あるのは猿真似だ。
    • 人物の表情
      日米のドラマを見て思うことだが、登場人物の表情が、日本の方は、押並べて暗い。 世の中には楽しいことなんか一つもないというような表情だ。米国の方は、自然体。・・・どうしてそうなのだろう?・・・閉塞感の所為?
     
  4. おまけ
    • 拳銃シーン
      今回、劇中幸いだったのは、拳銃発射のシーンが無かったこと。 あったら喜劇だった。日本のは銃口から出るのは弾ではなく線香花火のような火花だけ。銃口から出た一筋の火花が、線香花火じゃあるまいに、 途中でパチッとはじけるのには、笑っちゃうことはあっても、あれじゃ殺傷力はないと思われ、一気に番組の安普請ぶりが示される。 巧く誤魔化す知恵もなく、銃口を真正面から撮るのだから、あれでプロなの!と笑っちゃうほどだ。
      音だって、花火。構える姿も餓鬼並み。・・・役者と監督にアメリカの射撃場に修行に行かせる知恵も金もないのだろう。むしろ哀れだよね。
      そこえ行くと、コロンボの方は、極く自然に、拳銃らしいシーンが撮れている。 今回の比較例では、対比を例示できなかったが、日米の拳銃シーンの違い、何とかならないものだろうか。ここ数十年、進歩を期待してきたが、 今もって相変わらずなのは、笑止に値すると思う。剣を持たせると絵になるように、拳銃もそうなって欲しいものだ。
    • テーマソング
      コロンボの方のテーマソングは、有名なヘンリー・マンシーニだが、終着駅シリーズの方は、ネットで調べても記載がないので不明とした。 音楽へのリスペクトの差が出たのではないだろうか。
      ここでは、ヘンリー・マンシーニの映画音楽から、小生が好きな曲にリンクはっておく。 ここをクリックのこと
      この映画(グレートレース)はドタバタだったけど、BGMとしては、マンシーニの最高傑作だと思う。
      このリンクで気付いたことだが、コロンボ役のピーター・フォークが、このグレートレースにもちょい役だが出演(1965年)していた。 吃驚だし、何かの縁を感じた。
 
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