苦悩する国際政治学

2022/5/13 石井ト
今日、5月13日(金)、毎日新聞の夕刊「特集ワイド」に、国際政治学者 藤原帰一さんの論文が載った。 題して「専制と隷属 許してはならない」だ。
小生、この度のロシアのウクライナ侵攻をみて、自由・民権社会と強権・専制社会との相違について関心を持っていたので、 本論文から、主要点を抜粋して紹介し、最後に小生の所感を記すことにした。
良かったらご一読の上、ご意見などお寄せください。
抜粋:藤原論文から抜粋
  1. ジョージ・オーウェル著「1984年」(原題: Nineteen Eighty-Four)
    ウクライナ侵攻の衝撃は、プーチン政権が国内における反プーチン勢力の封じ込めと言論・報道統制を愈々強めるという非民主主義的な路線、 言わばロシアの権威主義体制が強く印象づけられた点にある。 侵攻後、そうしたロシア政治を批判する際によく引用されるのが英国人作家、ジョージ・オーウェル著「1984年」である。 49年に発表され、全体主義に支配された架空の独裁国家を描きつつ、旧ソ連時代のスターリン主義を痛烈に批判した名著。 常に戦争を行い言論統制や思想の自由を許さない国家を描いている。
  2. プーチン政権
    実は藤沢さん、40年来のオーウェルの読者である。「オーウェルを予言者のように扱うのは不適切」と前置きしたうえで、こう話す。 「国家への権力の集中と社会の統制、恒常的に続く戦争、そして事実の歪曲や排除、自由な知性の破壊。この専制・戦争・知性の排除という三つがオーウェルの独裁のイメージでした。 ・・・それがプーチン政権です。
  3. 全体主義や独裁の恐怖へのよりどころ
    では、ロシアで同時進行している全体主義や独裁の恐怖を前に、私たちは何をよりどころにすれば? そう問うた時、藤原さんが示したのが日本国憲法前文だ。 引用しておこう。<われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に排除しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたい>。 藤原さんによると、とりわけ憲法前文は今も国際社会の原則であり、現実主義そのものである。 「憲法前文は日本だけのものではなく、国連憲章に基づいた戦後世界の社会の原理なのです。現に国際社会はウクライナを支援し続けています」と言う。」
  4. 国際政治学の役割
    「日本人が憲法を受け入れたように、今後の世界秩序は欧米と日本といった民主主義勢力だけでなく、 プーチン政権が倒れた後のロシアもメンバーとして作っていかなければいけません」。 藤原さんは国際政治学を「恐怖の中で考え続ける学問」と表現する。戦争や全体主義に対する恐怖に特効薬はない。 「専制と隷従を許さず」の理念を抱き、苦悩するしかないのである。
所感:藤原論文を読んだ小生の所感を記す。次の通りだ。
  1. 現状認識
    ウクライナ侵攻についての現状認識は、そんなものだろう。間違ってないと思う。
  2. 中身について
    だが、具体的な提言はゼロで、内容としてはぼやきの域を出ていない。映画評論ならそれでいいが、今の相手は、現実だ。 苦悩するだけでは意味がない。
  3. プロパガンダ対策
    「プーチン政権が国内における反プーチン勢力の封じ込めと言論・報道統制を愈々強めるという非民主主義的な路線」との現状認識や、 「専制と隷従を許さず」の理念を抱き苦悩するというなら、 プロパガンダ対応策を練るのもありではないだろうか。それを「ニュープロパガンダ」と呼ぼう。
  4. ニュープロパガンダ
    ウイキペディアによると、プロパガンダ(羅: propaganda)は、特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為のことであるが、 ここで言うニュープロパガンダは、真実を報じて個々人の思想・意識の醸成に資す行為のことである。 国連は機能不全だから、新たに強力な監査機能をもつ国際機関を作ってみたらいい。苦悩するだけよりいいだろう。 なお、わざわざ強力な監査機能と付け加えたのは、情報の正確性が担保される必要があるからだ。情報の正確性疑われるようでは、 五万とあるプロパガンダと違いはない。
 
 
 
 
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