焼き場に立つ少年は何処へ(著者 吉岡栄二郎)*

野中 進
此の処寒暖の差が大きく体調は一進二退の状況ですが、貴殿に置かれては元気一杯の ご様子羨ましい限りです。
さて、先日PCでふと目に留まったのが、ローマ法王長崎原爆後の写真「焼き場に立 つ少年」配布の記事**でした。
カトリック教会のローマ法王庁(バチカン)が昨年末教会関係者に異例とも思えるカードを配布したとあったので、 図書館で「焼き場に立つ少年」は何処へを借りてきて一読しましたが、 当時アメリカ占領軍兵士であったジョー・オダネル氏は、帰国後はホワイトハウスに勤務、 43年間長崎で見た悲惨な光景を思いだすまいと努め持ち帰った300点の私的フイルムの入ったトランクを屋根裏に封印したままであったという。
だが1989年米国内での反核運動がおこる中、ケンタッキー州の修道院で見た被爆者の写真を見てトランクを開けることを決意する。
それから1年余、地元テネシー州で原爆の写真展を開くと、勇気ある行動と称賛される一方、 原爆投下を正統とする同胞より激しく非難されることに成った。
この少年は推定10歳ぐらいとみられるが、我らのおよそ3歳ぐらい上の年かさと思われるが、 焼き場の前で死んでしまった2歳ぐらいの弟を背に直立不動、地面にしっかりと足を付け口元を引き結んでいるが、 唇に血が滲んでいたという。誠に胸が震える1枚である。
オダネル氏は戦後4回訪日しこの少年のその後の消息を尋ねているが、杳として行方は把握できていない。以下憶測ではあるが、 親や親族は長崎で爆死したのか、兄弟姉妹も全滅したのか、まったく手がかりが掴めないでいる。
少年もその後亡くなったのではないかと思うとなおさらに切ない。北のキム・ジョウウンや韓の文に一度見て貰いたいものである。
* 本稿は、野中進君から、小生宛てメールの形で投稿いただいた文章を、ご本人の了解を頂いて、本HPに転載するものです。(HP管理者)
** 野中君から写真を見つけるように依頼されましたが、フリーの写真を見つけられなかったので、 代わりに、野中君が読んだ新聞がこれかどうかは分かりませんが、朝日新聞の平成30年1月2日付の記事にリンク張っておきます。 ここをクリックして下さい。(HP管理者)
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