敵基地攻撃能力について

プライムニュースから

石井ト
わが国の安保体制は一言で言えば、「鉾と盾」で、鉾が米軍、盾が自衛隊、の組み合わせで出来ている。 即ちわが国は専守防衛で攻撃はしない代わりに、攻撃を米軍がやるという変な体制にある。
この体制で、進歩したミサイル兵器技術の今、自由、民権、法の支配を掲げる民主国家と、強権国家が対峙しているが、 果たして我々は、平和で安全な市民生活を送れるだろうか?それが問題だ。
要するに、ボクシングで言えば、第一ラウンドは自衛隊選手が防御だけで戦い、第二ラウンドは米軍選手に出てもらってパンチで攻撃する、 というような試合が成立するのか?という問題がある。 第一ラウンドでノックダウンしてしまうかも知れないし、また、第二ラウンドに出る選手がいるかどうか、 第一ラウンドの様子を見て出場を躊躇する可能性がゼロではない。 そのような極めて危ういタイトロープを綱渡りしているのが現在の安保体制と言えるだろう。
このような中、去る10月7日のBs108の「プライムニュース」で、 コメンテーターを務められた前統合幕僚長河野 克俊氏の話が腑に落ちる話だったので、少し纏めて紹介しよう。
河野 克俊氏は、(かわの かつとし、1954年(昭和29年)11月28日 - )は、日本の退役海上自衛官。第31代・海上幕僚長を経て、 第5代・統合幕僚長、とあった。詳しくは、ここをクリックのこと
  1. 現状
    1. ミサイル兵器の現状(ウイキペディアより抜粋:ここをクリックのこと
      ミサイル兵器の発達は次のように多岐に亘って進化しつつある。
      • 対地ミサイル
        • 弾道ミサイル
        • 地対地ミサイル
        • 空対地ミサイル
        • 艦地対地ミサイル
        • 対レーダーミサイル
        • 対戦車ミサイル
      • 巡航ミサイル
      • 極超音速ミサイル
      • 対艦ミサイル
        • 地対艦ミサイル
        • 艦対艦ミサイル
        • 空対艦ミサイル
      • 対潜ミサイル
      • 対空ミサイル
        • 地対空ミサイル
        • 艦対空ミサイル
        • 空対空ミサイル
        • 弾道弾迎撃ミサイル
        • 対衛星ミサイル
       
    2. 安保体制の現状
      わが国の安保体制は一言で言えば、「鉾と盾」で、鉾が米軍、盾が自衛隊、の組み合わせで出来ている。 即ちわが国は専守防衛(盾)で攻撃はしない代わりに、攻撃(鉾)を米軍がやるという変な体制にある。 軍事技術の進歩した今、民主国家と強権国家が対峙しているが、果たしてこの体制で、日本国民が平和で安全な生活を続けることができるかどうか危惧される現状にある。
     
  2. 問題点(前統合幕僚長河野 克俊氏の話より引用)
    1. 兵器の進歩による問題点
      昔の攻撃方法は、軍艦や飛行機がわが国の近くまで来て爆弾を発射することで攻撃がなされていたので軍艦や飛行機を攻撃すればよかったが、 今はミサイルによる攻撃であるため、発射装置たる艦船や爆撃機が日本近海まで侵入する必要がなくなった。即ち、今の発射装置は敵基地そのものとなったのである。 このような情勢変化に対し、わが国の盾の役割には問題がある。発射装置が相手国内に在るのに、それを攻撃できるかどうか明確になってないという問題だ。
      思うに、発射装置が相手国とわが国の間の位置により攻撃が出来たり出来なかったりするのは変だという問題である。明確にすべきだ。
    2. 日本国憲法の問題点
      現状の日本国憲法のままで日本国憲法第一一条規定の国民の基本的人権、並びに日本国憲法第一二条規定の国民の自由及び権利を保障できるのか問題だ。
     
  3. 解決策(前統合幕僚長河野 克俊氏の話より引用)
    日本国憲法を改正し、自衛目的の敵基地攻撃能力の保持が必要である。
     
  4. 敵基地攻撃のメリット・デメリット
    敵基地攻撃能力の保持は戦争抑止の効果が期待できる。国民の命を護るための自衛戦力として整備すべきだ。
    デメリットとしては、自衛戦以外の目的に使用する可能性が考えられるが、我が国は、平和憲法堅持によりそのデメリットを消し去ることができる。 従って、デメリットよりメリットの方が大きいことを説得力を以って世界に主張できる。
付言
以上、敵基地攻撃について記してきたが、書き終わって改めて思ったことは、日本国憲法って思ったよりいい加減だと云うこと。 何処がかと言えば、第九条で、「戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認」を謳っていると同時に、 第一一条規定、並びに日本国憲法第一二条規定で、国民の基本的人権、国民の自由及び権利を保障している。 なのに、戦争を放棄した上で、攻められた場合どうやって国民の基本的人権、国民の自由及び権利を保障するかが述べられてない。 要するに、日本国憲法は完結していない未完書と言える。だから、現実離れした実行困難で無責任な憲法となっている。
こちらから攻めなければ攻められることはないとでもいうのだろうか。そんなことはあり得ないことは歴史が示している。 このような論理的ではない文章を70数年も不磨の大典のように護り続けてきたことに驚くと同時に、知性の無ささへ感じる。 米軍に護られて平和呆けしたとしか思えない。また、何故憲法学者がこの矛盾を見逃したか知りたい。 戦争を放棄すれば攻められないなんてのは、それなりの自衛力に裏打ちされてこそやっと言える可能性が生じるかも知れないという特殊な事象だろうに。
憲法を論理的かつ国民に対し責任のとれるものに変えなければならない。そうすれば、憲法は国民に親しまれるものになるだろう。 今は何か特別なもので自分等は与り知らぬものと感じている人が多いのではと思う。要するに自分等のものになっていないのだ。
付言2
2012年4月、自由民主党は、日本国憲法を全面的に変更する「日本国憲法改正草案」(以下、自民党草案)を発表した。 その内容は、今回の参議院議員選挙公約に以下のように要約されている。 これは、木村草太氏(憲法学者)の論文「参議院選挙と憲法96条改憲論」(2014/4)から抜粋したものだ。詳しくはここをクリックのこと
【自民党「日本国憲法改正草案」(平成24 年4 月発表)の主な内容】
  1. *前文では、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つの基本原理を継承しつつ、日本国の歴史や文化、国や郷土を自ら守る気概、 和を尊び家族や社会が互いに助け合って国家が成り立っていることなどを表明しました。
  2. 天皇陛下は元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であることを記し、国や地方公共団体主催行事へのご臨席など「公的行為」の規定を加えました。 国旗・国歌・元号の規定も加えました。
  3. *自衛権を明記し、国防軍の設置、領土等の保全義務を規定しました。
  4. 家族の尊重、家族は互いに助け合うことを規定しました。
  5. *国による「環境保全」「在外邦人の保護」「犯罪被害者等への配慮」「教育環境整備」の義務を新たに規定しました。
  6. 内閣総理大臣の権限や権限代行を規定しました。
  7. *財政健全性の確保を規定しました。
  8. 地方自治の本旨を明らかにし、国及び地方自治体の協力関係を規定しました。
  9. *武力攻撃や大規模な自然災害などに対応するための「緊急事態条項」を新設しました。
  10. 憲法改正の発議要件を「衆参それぞれの過半数」に緩和し、主権者である国民が「国民投票」を通じて憲法判断に参加する機会を得やすくしました。
小生思うに、*を付した項目を取り込めばいいと思う。無印の項目もいいだろう。だが、(10)項は不要。
斯くて、日本国憲法を頂点とするすっきり爽やかな法体系が実現するこことなる。
付言3
憲法や法律は国民のもの。専門家の専有物ではない。 嘗て、仏教が伝来して以来、仏教世界は仏典の難易度を除去する努力を怠った。 その方が、専門家たるお坊さんには有利だったからだ。飯のタネってわけである。 要するに、難しくして一般民衆を善男善女化した。
江戸期に入ると、徳川家康の政治思想が実践された。「寄らしむべし知らしむべからず」である。
そして今も、そのような賎民思想が続いている。
この伝統手法の法律版が難解な憲法論議である。政治家や専門家も便乗し国民を煙に巻いてるというとこだ。
早くすっきりし、一般の常識ある国民に分る憲法にすべきである。
 
 
 
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衆院解散
谷川真雄
いよいよ政権を懸けた総選挙の火蓋が切られます。各党の公約を見ると内政では程度の差はあれ財源無視、国民の欲する処なんでもあり、 バナナのたたき売り合戦にも似たポピュリズム典型の経済政策で何をかいわんやコメントのしようがありません。
一方自民を除いて、米中が激しく覇権を争う安全保障環境緊迫の中で、 我が国の国際社会における在り方を問われることにもなる外交・安全保障政策の一大事が真剣に取り上げられ争点化されようとしていないことが大いに気になります。 政権の一角を担うという共産党はその公約に日米安保条約廃棄を謳い(日中安保条約締結でも考えているのかと勘ぐります)、立憲はそれを容認して連立を組む。 憲法9条に守られたと思い込んで一国平和主義に安住してきた一般国民の関心が薄いのはともかくとして、 マスコミ(私の場合は毎日新聞で読売は不知)もそのことを表沙汰に取り上げようとしない空気が感じられます。
一連の安部政権の専横ぶりにはいささか嫌気がさし、そろそろ政権交代があってもいいかと思っていたのですが、 これでは軽々に任すことはできないという気がしています。
当面可能性は低いと思いますが、米中の台湾問題対応如何では局地的武力衝突は起こりうると思います。野党に聞きたい、さて、日本はわが身をどう処するのか。
(2021/10/18 15:30)
専守防衛は国を亡ぼす
谷川真雄
米中戦争の起爆装置はTPP加盟を導火線とする台湾問題の帰趨にあり、一度起これば日本が巻き込まれること必定。 専守防衛は国を亡ぼす、先手必勝あるのみ。されど、後の先あり、これぞ敵基地攻撃なり。
(2021/10/9 22:51)