敵基地攻撃は可能か

令和3年10月吉日 山下永二
「敵基地攻撃能力について」石井俊雄君の意見と谷川君のコメントに興味を持って見た。
今、東アジアでは、米中の新冷戦に入ったと言われ、更に北朝鮮の弾道ミサイル発射が連続的に行われ軍事的情勢が緊張している中で、 一部の政治家が「敵基地攻撃」に言及したことから議論が広まったと思う。 いくつかの問題意識を持って若干の意見を述べたい。
  1. 敵基地攻撃の能力はあるが実際に適用は困難
    「座して死を待つより先制攻撃」というのは戦法としてあるが、中・露・北も弾道ミサイルを数百発保有し、核兵器を小型化して戦術核として装備している。
    自衛隊は、対ミサイルに対し発射後の空中迎撃能力を備え防空システムは完備している。
    敵基地攻撃になると射程を更に延長して航空機への搭載、イージス艦のミサイル発射能力向上で一応可能である。 米軍と共同分担方式なら確実でしょう。然しながら多数の弾道ミサイル、移動式発射台や潜水艦発射には高度な探知能力が要求され現実的には対応困難と思われる。 憲法上「交戦権」が認められていないので実行は出来ないでしょう。又戦線が拡大する危険性がある。
  2. 専守防衛とは これは政治用語であり、軍事用語にはない。憲法九条から日本の政治家が考えたもので日本だけが通用する用語です。 ボクシングで例えて言えば、相手から打たれて両手で顔を塞いで絶えいる戦法は世界中にどこもありません。 現在では、マスメディアも都合のよい用語として盛んに使っていますが軍事的には意味不明と言ってよいでしょう。
  3. 自衛隊の平時と有事
    • 平時において自衛隊は、優れた装備を備え的確に運用・訓練し、日米同盟により抑止力を維持し、70数年の平和を守ってきた。 その合間に災害派遣等に活躍し多くの国民に信頼を得ています。 憲法には防衛に関する文言が皆無のため、解釈によって自衛隊は創設されたもので、有事においては、法律的に多くの不備があります。
    • 憲法に「緊急事態対処規定」が欠如している。又第76条2項により、特別裁判所が禁じられているため有事には、「軍法会議」がないため、運用が困難です。 つまり、軍隊の役割を担いながら、法律的には軍隊でないという矛盾が生じているのです。 これは憲法を改正しないと解決しないでしょう。もう少し具体的に言いますと、 軍に適用する特別法として立法機関によって制定された法体系が必要なのです。 軍事行動に関する軍事犯罪、職務放棄、敵前逃亡、命令違反、スパイ行為等一般犯罪より厳しい軍刑法が必要なのです。
      「軍法会議」とは、軍人、軍属、捕虜等に対する規律維持のため軍の刑事裁判所です。
      指揮官の命令責任は、指揮官にあり部下はその責任を負わない。軍法会議がないと現刑法により皆殺人罪として問われ、行動発令を躊躇することもありうる。
  4. 結言 有事には、憲法改正、立法処置が無ければ日本国の防衛は成り立ちませ ん。
 
 
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日本国憲法は閉じてない
石井ト
小生、このところこのテーマで考えてみたところ、日本国憲法って閉じてないと思った。 別に、右翼だとかではなく、我々の安全という観点から考えて、そう思った。
実際、法規範文として完結してないと思う。360℃埋まってなく大きな口を開けた空洞があるのだ。 その空洞を埋めたのが日米安保条約だろうか。
安保は必要だが空洞は埋めなければならない。両立するように。(2021/10/26 18:38)