毎日新聞「余禄」から

約 束 事

石井ト
昨日、2021年10月1日の毎日新聞「余禄」欄に、さいとうたかを氏の言葉が紹介されていた。 さいとうたかを氏と言えば、ご存じ「ゴルゴ13」の劇画家である。 曰く「人間社会が約束事で成り立っていると気づかされた」というものだ。
思うに、この世にあるものは、物質と人間だが、小生の関心事は、この物質と人間を統べる根源の力は何かということにある。
物質については現在のところ、4つの力に集約されることが分かってきたようだ。 宇宙を成り立たせている4つの力とは、「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」に集約されるとのこと。 では、人間については、今回のさいとうたかを氏の言葉から、「約束事」こそその力の根源ということになる。
人間以外の諸物を統べるのが重力等の自然の力で、人間を統べるのが約束事といわけだ。 従って、人間を含めた全世界、全宇宙は、重力等の自然の力と約束事で出来ているとなる。
重力等の自然の力については、専門家に任せるとして、約束事について考えてみれば、法律も、礼法も、宗教も、お金も、事業も、国際法も、皆約束事である。 約束事ではないのは、夢や棚ぼたくらいなものである。
最近、車に乗るようになって思うのは、例えば、新青梅街道など片側2車線の幹線道路で中央線すれすれに車を馳せるとき、 若し、対向車が中央線を越えて反対車線にはみ出したら、間違いなく小生の車とぶっつかるなと心配すること。
だが、実際は、中々ぶっつからない。ほんの30センチもぶれればぶっつかるのに、ぶっつからないのは不思議なことだと思いながら、 いつも中央線よりのレーンを走っている。
このような行動をとり続けられるのは何故かと考えるとき、浮かぶのは対向車線の運転手への信頼だ。 中央線を越えてこちら側に入ってくるはずはないという信頼だ。 これが無ければ、対向車とすれすれに行き交う中央線寄りの車線なんか走れるはずがない。
実際、私に限らず、皆平気で中央線よりの車線を走っている。そこには確固たる信頼が存在するからであり、 その信頼はお互い車線をはみ出さないように運転するという約束事に由来する信頼なのである。 従って、この場合、私と対向車の運転手との間には、斥力が働いてるという表現もできる。約束事は斥力を生むのだ。
この例のように、約束事は、人間どもの間にあって斥力となって人間に益を齎す。 複数の人間どもにとっては約束事は必須のツールなのである。
従って、約束は守らないといけないとなる。さいとうたかを説の正しさが示された例だろう。
問題は、約束が守られない場合である。
個人の場合は制裁を受けるがそれは精々罰金程度、重くて死を以って償う程度に留まる。 だが国家や大組織の場合は影響が大きい。罰金程度や個人の死ではなく実力行使を受け、双方或いは片方が重症に陥る可能性がある。
最近の世界情勢は、約束違反が多いように見えて心配。
村田英雄の「人生劇場」のように、義理(約束のこと)が廃ればこの世は闇だ。 約束事が守られるようにしなければならない。
以上から、この世を支配する5つの力、即ち、「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」「約束事」の中で、我々がコントロールできるのは「約束事」だけ。 他の4つは制御できない。従って、せめて「約束事」だけは、きっちり守れる人にならなければならない。 それさへ出来たら、人類の未来は明るい。10億年さきには、銀河星雲の端まで進出してるかも知れない。銀河星雲の直径は10億光年だから。
我々はもう83歳、ギュスターヴ・ホルストの組曲「惑星」より「木星」を聴いて、せめての慰めにしよう。10億年なんて無理だから。 ここをクリックのこと
この曲の特徴は編曲にある。出だしがユニークで素晴らしい。 ホルスト作曲の組曲「惑星」の「木星」を聴けば、こんな出だしではない。それなのに、このように編曲したのは独創的でいい。 だから、編曲者が誰か知ろうとしたが、YouTubeからでは不明。・・・知りたいものだ!
 
 
 
 
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