- 生きる (黒澤明監督、志村喬主演)
お役所仕事に飽き足らなさを感じていた主人公が、ある日医者に胃潰瘍と告げられたが、
癌と思いこんだ主人公は自暴自棄になるが、生きるとは何かと考えた時、
残された時間を1日1日しっかりと生きることだと気が付き、その後、公園の新設に真っ向から取り組み、
やくざともしっかり対坐し公園新設に熱中する。
最後に完成した新公園のブランコに揺れながら途切れ途切れに歌う「ゴンドラの唄」が今でも忘れられない。
- 東京物語 (小津安二郎監督、笠智衆、原節子主演)
尾道に住む老夫婦が、東京で暮らす子どもたちを訪ねるが、各々生きるのに必死で、必ずしも歓迎されず、
戦死した次男の嫁だけが2人の世話をする。東京の喧騒の中で暮らす子どもたちと、
静かな尾道で暮らす老夫婦の生活を対比させ、戦後日本の家族の崩壊を描いている。
- 秋刀魚の味 (小津安二郎監督、原節子)
大事に育てた娘を嫁にやって、侘しい父親の姿が、淡々と描かれていて、共感を誘う。
- 二十四の瞳 (木下恵介監督、高峰秀子)
仰げば尊し等の小学校唱歌が随所に歌われ、小豆島の当時の素朴な風景とマッチして何とも言えない郷愁をそそられる。
歓呼の声で送られる出征兵士の万歳と、後に白木の箱となって返ってくる葬送のシーンが切ない。
大石、小石などとからかわれながら自転車で走る姿が瞼に浮かぶ。
先生の子どもが柿の木から落ちて亡くなる事件もあったように記憶するが、
柿の木は上に行くほど細くなり折れやすく私も落ちそうになった経験があり、戦時には柿は大変な貴重品で有ったので、
なんだか当時の食糧事情が偲ばれて記憶から消えない。
- 羅生門 (黒澤明監督、芥川龍之介作品)
朱雀大路の平安京にある正門の羅城門が舞台。殺人事件の目撃者や関係者がそれぞれの視点から証言するが、
いずれも食い違い、人間のエゴイズムと生きるための悪を克明に描いている。
当時飢饉や竜巻等の天災地変が頻発し遺体がそこここに放置されていたが、解雇された下人が羅生門の2階に上がると、
老婆が若い女性の遺体から髪を抜き取っており、激怒した下人は刀で斬りかかり、老婆の着物をはぎ取り、
いずこともなく去っていくというのが粗筋である。その後の下人の行方は誰も知らないと結んである
- 7人の侍 (黒澤明監督、志村喬、三船敏郎主演)
戦国時代、秋口の麦の収穫を狙って野武士の集団が襲う村があった。
村人は用心棒として侍を雇うことにしたが選定は難航する。
実際観た人が多いと思うので筋書きは省略する。
国際的評価を高く受けた作品で、多くの国でリメーク品が出ている。
- 用心棒 (黒澤明監督、三船敏郎主演)
ならず者同士の対立がある鄙びた村にやってきた浪人が、名前を聞かれて、庭の外の桑畑を見ながら、
桑畑三十郎と名乗る等痛快な娯楽作品である。説明は余り要しないと思う。
- 野菊の如き君なりき (木下恵介監督、笠智衆主演
戦後の農地改革で没落した主人公が、昔を偲んで感傷旅行に出かける。
戦前の農村の仕来たりや蝋衆笠智衆が渡しの船の中で、人生って淋しいもんですなーと呟くシーンが共感を誘う
秋更けて野も寂行けばみ墓辺に、鳴くかコオロギ訪う人もなく 伊藤左千夫
- ポッポヤ (山田洋次監督、高倉健主演)
廃線が予定された北海道のとある駅で定年を迎える鉄道一筋に生きた鉄道員の物語である。
彼は蒸気機関車の釜焚きから機関士をへて、当駅の駅長を務めるが、生れたばかりの一人娘を亡くした日も、
妻を亡くした日にも駅を守るために病院に立ち会えなかった事を悔いている処が泣かせる。
- 幸せの黄色いハンカチ (山田洋次監督、高倉健主演)
ほとんどの人が観ていると思うが、ラストシーンで、黄色いハンカチが豪勢に翻っているのを見て、
急いで妻の下へ走りよるが、遠景で二人が抱き合うこともなく黙って家の中に入って行くのが印象的であった。完