90歳の運び屋

石井ト
今日、13:00分から、NHKBs3で「90歳の運び屋」という映画を観た。
クリント・イーストウッドの2018年の映画だ。
90歳の老人が麻薬の運び屋をする話だが、ウイキペディアによると、 原案は『ニューヨーク・タイムズ』のサム・ドルニックの記事「The Sinaloa Cartel's 90-Year-Old Drug Mule」であり、 脚本はニック・シェンクが執筆した。 80歳代でシナロア・カルテルの麻薬の運び屋となった第二次世界大戦の退役軍人であるレオ・シャープの実話に基づいている。
映画では、最後は捕まって、刑に服するところで終わるが、何と言っても、彼の年齢が私と近く、特に、主題歌がその老人の心境を淡々と歌うのが身に沁みた。
彼が90歳にして達した心境は、次の主題歌に刻まれている。
「Don’t let the old man in」歌詞和訳
Written and performed by Toby Keith Courtesy of Show Dog Nashville
(「NEWS 2019/03/19 LiLiCoも涙…、C・イーストウッド映画『運び屋』ED曲をフィーチャーした特別映像を独占解禁」より抜粋)
老いを迎え入れるな
もう少し生きたいから
老いに身をゆだねるな
ドアをノックされても
ずっと分かっていた
いつか終わりが来ると
立ち上がって外に出よう

老いを迎え入れるな
数え切れぬ歳月を生きて
疲れきって衰えたこの体
年齢などどうでもいい
生まれた日を知らないのなら
妻に愛をささげよう
友人たちのそばにいよう
日暮れにはワインを乾杯しよう

老いを迎え入れるな
数え切れぬ歳月を生きて
疲れきって衰えたこの体
年齢などどうでもいい
生まれた日を知らないのなら
老いが馬でやって来て
冷たい風を感じたなら
窓から見て微笑みかけよう

老いを迎え入れるな
窓から見て微笑みかけよう
まだ老いを迎え入れるな
原題の、「Don’t let the old man in」は、「老いを迎え入れるな」と訳されている。 無駄な抵抗と解っていても、決して泣声は出さないところが泣かせる。
こう云うのが「悟り」というのだろう。無駄と知りつつ諦めないところが。
そうだよね、最後まで突っ張って行こう!爺も婆も。 諦めるなではなく、老いを受け入れるな! Don’t let the old man in!で行こう。(私見ながら「迎え入れるな」より「受け入れるな」の方が適訳だと思う)」
主題歌は、ここをクリックのこと
クリント・イーストウッドについて一言追記します。
彼の演技の特徴は、慌てずゆっくり、ということだろうと思う。 「ダーティー・ハリー」シリーズの4作品、マカロニウエスタンのガンマン、「許されざる者」など、動作が極めてゆっくりだ。 それが、貫禄となって役者を引き立てていると思う。 あれじゃ弾に当たるだろうと心配するほどだ。
翻って、邦画を見れば、テレビも含めて、皆、きょろきょろというほど慌てている。 もう少し、貯めというか間をとらないとバタバタして餓鬼っぽくなる。 第一、ピストルの構え方からして様になってないとこに、間の無い演技では、観るに堪えない。邦画の演技指導、何とかならないものだろうか。 それとも、チープに作った結果なのだろうか。少なくとも、ピストル撃ったら、銃口から花火のような火花が出るのだけは何とかしてもらいたいものだ。 昔はよかった。「七つの顔の男」の片岡千恵蔵は、間があったし、ピストルの構え方も様になっていた。ピストルから何発も弾が出るのもご愛敬だった。 ・・・今は、映画界は劣化中?
 
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コメント
魚住 秀男
小生もこの映画見ました。大分前に一度見たことがあったと思いますが、今回はこの年になって見て、胸に来るものが有りました。
最近はもう年だから、仕方が無いかと妥協することが多くなったように思いますが、未だ未だ頑張らねばと思い知らされました。
「老いを受け入れるな」を座右の銘に今後生活していきたいと思います。
(2021/9/7 20:33)
コメント
森永 明
僕も見たよ.最後のクレジットで "Don't let the old man in"が流れ90歳でも老いを近づけるなと歌う.
イーストウッド監督のイントロでのコミックがRUNを重ねる調子者が実に可笑しくまたハラハラさせる.
特に警察犬が嗅ぎ告げる特技を軽くいなす90歳の知恵者には拍手喝采である.
病院での最後の会話は心に沁みる.
ラストで娘が言う”居場所さえ分かっていれば幸せよ”にはグググときた.
3日の”夕陽のガンマン”等年相応の主役実にピッタリで,彼の作品可能な限り映画館で観ているが90歳は初めてであった.
(2021/9/6 20:24)