頭上の敵機("Twelve O'clock High")

石井ト
今日、13:00から、NHKBsで標記の映画をみた。 雨ばかりで憂鬱だが、久し振りにいい映画に巡り会えた。
1942年のヨーロッパ戦線が舞台で、アメリカ陸軍のB−17爆撃隊が行った昼間精密爆撃の物語である。
前にも見た記憶があるので、憶えていると思い、最初だけちょい見のつもりが、殆ど憶えてなくて、最後までみてしまった。 ハリウッド映画に付き物の美人女優も出てなかったが、がっかりはしなかった。それくらい内容がよかったのだ。
映画は、1949年のアメリカ映画で、日本公開は1950年11月だから、当時小生は小学6年生。佐賀の「朝日館」で見たと思う。 当時大概の映画は見てたから。
原題名は、"Twelve O'clock High"。素晴らしいネーミングだよね。意味はウイキペディアによると、次のとおり。
"twelve o'clock high"は敵機の方向を示す用語で、"twelve o'clock"はクロックポジションで12時の方向(前方)、 "high"は自身より上方に敵機がいることを表している("level"は自身と同高度、"low"は自身より下方)。つまり、 "twelve o'clock high"を直訳すれば『12時の方向上』であり、この方向から敵機が接近していることを意味している。
初期型のB−17では機首正面方向が弱点とされており(この方向を射撃できる防御機銃が少ないため)、 ドイツ空軍の戦闘機はこの位置からB−17を攻撃することが多かった。上方から急降下してくる敵戦闘機は相対速度の速さもあって難敵であった。
B−17の乗員は、10名で、武装はブローニイング12.7mm機関銃X12丁である。 普通、爆撃機は編隊を組む。当時のドイツ爆撃はB−17数十機が編隊を組んだ。 だから、迎え撃つドイツ空軍機、多分、メッサーシュミットBf109か、フォッケウルフという戦闘機だろうが、攻撃するのは命がけだったはず。 なぜなら、例えば、60機のB−17の機銃が迎撃するとして、一機あたり6丁の機関銃が迎え撃てば、60機分360丁の機関銃に狙われるから、 撃ち落される確率は決して低くはなかった。 だから、ドイツ空軍機は、爆撃機より高い位置から、高速で急降下しながら、B−17に一撃し離脱するという戦法(hit and run)をとったのだ。 この"hit"は撃つ、"run"は逃げるだ。続けて「撃って逃げ」である。極めて解り易い!ヨーロッパの中世からの伝統戦法だそうだ。騎馬戦での。 なお、このメッサーシュミット戦闘機は、戦後もチェッコスロバキアで生産され、1950年まで現役で活躍した。
映画の中では、内勤のコックと秘書官が、帰投した爆撃機から降りてきたが、 機関銃手を潜りで務めていたのだ。最前線の現場では、結構自由に爆撃機に乗り、機関銃手を務めたりしてたようである。 ・・・私だって、機関銃撃ってみたいので正直羨ましかった。毎回は遠慮するが、一度くらいはやってみたいよな。何しろ相手は高速で攻撃してくるドイツ戦闘機だから、 命かけてでもやってみたい、だろう。・・・米軍って、規則が緩やかで遊びがあり、全体としては強いのは、大らかな雰囲気がその原因の一つかもと思ったりした。 実際とは大違いかも知れないが、このような一コマをさり気なく差し込むシナリオは、流石である。・・・半面、雁字搦めで規則規則の現場なら、 所謂遊びのない寸詰まりで、人が敬遠して集まらないだろう。 さり気ない人集めのコマーシャルかもである。・・・ここいら辺がハリウッド映画は巧いと思う。
だが、映画音楽が強調されなかったのはハリウッド映画らしくなかった。 音楽担当は、有名なアルフレッド・ニューマンだったのにである。 彼は、チャプリンの映画「街の灯」の音楽担当だったし、その他多数の映画の音楽担当だったのだから、もっと表に出ても可笑しくなかった。
音楽は控え目だったので目立たなかったが、最後に「リンゴの木の下で、僕と別の男とベンチに座らないで 僕が故郷に戻るまで、 僕と別の男とベンチに座らないで・・・」と歌う音楽が流れた。だがメロディは私の知らないものだった。だから、リンク張れないのが残念。
仕方ないので、違うメロディーだが歌詞の中の「リンゴの木の下で・・・」が同じで私が知ってる曲にリンク張っておく。 ここをクリックのこと。 曲は別でも出征兵士の心情には近いだろう。
 
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