名詞構文と動詞構文

 
石井俊雄
図書館で大活字本という書棚をみていたら、外山滋比古著の「日本語の論理」という本があった。
パラパラと捲っていると面白い表現に出会した。
それは、 「西欧の言語が名詞中心構文であるのに日本語は動詞中心構文である。」 という箇所で、次の例文が掲げられていた。
「『この事実の認識が問題の解決に貢献する』というのが名詞構文なら、『これがわかれば問題はずっと解決しやすくなる』とするのが動詞構文である。」
氏が何故にこのようなことを書かれたかといえば、
西欧の文化と接触して以来ずっと日本の知識人には論理コンプレックスとも言うべきものがつきまとっている。 従って、各言語に固有の論理性があることを認めることは、論理コンプレックスにとらわれている我々には特に重要な問題となるであろう。 そういう観点から、日本語の論理の特質を考えてみたい。
とのこと。そして「点的論理」、「連想の論理」、「多元論」などの視点からそれを論じておられる。
だけど総じて分かりづらい。何故かといえば、つるつると線的に主張が述べられてるだけで、立体性のある文章にはなっていないからだ。 即ち、線的に述べたことが一本の結論に集約されていないからだと思う。
別の表現をすれば、1階部分に個別の論拠を提示し、2階部分にそこから得られた結論を掲げるというような2階建て構造の建築物になっていないのだ。
だから、つるつるとどこまで行っても平屋がつづき、2階への階段は見当たらない。 だから読者は、自から2階部分を建増しするという苦行を強いられるのだ。
要するに、この本は分かり難い。 だが、「西欧の言語が名詞中心構文であるのに日本語は動詞中心構文である」という記述は面白い。 それで、ネットなどで少し調べてみた。
何故そんなことに興味を覚えるのかといえば、最近、テレビなどで外国人へのインタビューなど聞いていると、 西洋人が立石に水のようにすらすらと自分の意見を述べるのに対し、日本人の答えはおしなべて何を言ってるのか分からない。 大概の場合は、訊かれたことに対する答えというより、訊かれもしない願望を述べることが多いようだ。
例へば、
「あなたは藤沢周平の本を読んだことがありますか?」
と訊かれて、
「皆さんが藤沢周平の本が好きになれればいいなと思います。」
というように的外れな応えをする場合が多いのだ。
小生は、少し神経質なところがあるせいかすごく気になる。頭の中がいらつくという感じだ。 音楽で言えば不協和音を聴く感じと言えばわかり易いかも。
そんなわけで、言葉に関しては、特に日本語と英語の相違に関しては、関心があるので、ネットで少しだが調べてみた。
その結果、あるネットで見つけた例文を掲げよう。 この例文を見れば、一発で、「西欧の言語が名詞中心構文であるのに日本語は動詞中心構文である」ということが分かるだろう。
例えば「彼は英語を上手に話せる」という文を英訳する場合、どう表現するでしょうか。
多くの日本人は、
He can speak English well.
とやってしまいますね。
しかし、英語圏の人間ならおそらく
He is a good speaker of English.
とやるでしょう。
英語はものごとを名詞で表現することが多く、日本語は動詞で表現することが多いのです。 この「表現上の差異」は常に頭に入れておかねばなりません。 なぜなら、「名詞中心で表現された英文」をそのまま和訳しても、「動詞中心で表現されるべき」日本語の文として適当な物にはならないからです。
一発で分かったでしょう!
こんなこと、学校で教えてくれなかったよね?!
と言いたいところだが、覚えていないだけかも知れないし居眠りしていたのかも知れない。 なにしろ身に覚えは数々あるのだから。
誰か、習ったことを覚えている人はいないのかな? 若し、おられれば、
He is a good listener of English lesson.
かも。
私は、
I am a good skipper of English lesson.
???
 
 
 
 
 
コメントはこちらへメールして下さい。その際、文中冒頭に「HPコメント」と記して下さい。 Email
 

<コメント欄>   当欄は上記のメールをコメントとして掲示するものです。
英語構文
石井浩四郎
俊雄君の投稿は面白いけど難しいのが多い、よく頭を使っている?なと感心しているが難しくて読むのが困難。 この構文の話はわかりやすくて結構。native speakerのsetenceは作り方がちがいますね、なれないと駄目ですね。
(2012/09/09 19:15)
 
 
HPコメント・名詞構文と動詞構文
徳永 博
石井君の指摘はなかなか面白い。外山滋比古の受売りだけど。
小生が体験した日本語構文と英語構文との違いはもう1つあります。それは「上意下達」と「主体性尊重」とでも称するものです。
ある外資系会社のビルの屋上に上がった時、更にエレベータ塔屋にあがる階段の脇に、「登段禁止」という名札に [Go up at your own risk] という英文が付けてあるのを見て、なるほどな、と思いました。この類でゆくと、海岸の「遊泳禁止」区域は [ Swim at your own risk ] となるのでしょうか。
既に終わってしまいましたが、テレビドラマの「水戸黄門」で、助さん格さんが「この紋所が目にはいらぬか!」と叫んだ時に、もし逆賊の中に「毛唐」が居たら、倭人と同じように平伏するかどうか。「ワッチャネー What is your name? ] と叫び返すに違いありません。
(2012/09/10 10:45)