- 抜粋1
問:6人を任命しなかった菅首相の狙いをどう見ますか?
答:菅さんの狙いは忖度を加速させること*1でしょう。理由を明らかにしていないことがポイントです。
理由を明かさないことで「あの時の発言が引っかったのではないか」「いやあの発言だ」と周囲が詮索し、自主規制のハードルを上げてしまいます。
明確な理由が提示されないほど、忖度は加速するのです。
- 抜粋2
問:官房長官時代には官僚支配が恐れられました。
答:菅さんの特徴はなんといっても先ず「人事」です。・・・(中略)・・・野党時代に書いた自らの著書「政治家の覚悟」の中で、手の内を明かすように次のように述べています。
<人事権は大臣に与えられた大きな権限です。どういう人物ウをどういう役職に就けるか。人事によって、大臣の考えや目指す方針が組織の内外にメッセージとして伝わります。
効果的に使えば、組織を引き締めて一体感を高めることができます。とりわけ官僚は「人事」に敏感で、そこから大臣の意思を鋭く察知します。>
- 抜粋3
問:それにしても105人の推薦者から6人が選ばれた理由が分かりません。誰が見ても立派な研究者だと思います。
答:そこです。いずれも穏やかな論客とみられています。だから狙われたのでしょう。6人が政治色の鮮明な左派だったとしたら、
あいつは極端な反政府論者だから引っかったのだ、と思われて安心させてしまう。
寧ろ穏やかな論客であれば、殆ど自分も当てはまるところがある、と思うでしょう*2。よく考えているなと思います。・・・(中略)・・・要するに委縮がおきてしまう。
- 抜粋4
問:学問の自由まで委縮したら日本の民主主義、国力は発展しないのでは。
答:科学コミュニティーの戦争協力の反省から発足した学術会議は、その歴史からも、政府が科学技術を使って暴走することをチェックする役割を担っています。
やはり菅さんは学術会議が邪魔だと思っているのでしょう。学術会議は基本的には政府のチェック機能ですから。
- 抜粋5
問:科学者たちに軍事研究をさせたいのでしょうか。
答:大学や研究機関が軍事研究に加わるような方向性を持っているのは事実でしょう。しかし菅さん自身に軍事研究への強いこだわりは感じられません。
それより熱心なのは、携帯料金の値下げと、それにリンクしたデジタル庁の新設です。
この二つはセット、リンクしたものと考えた方がいいでしょう。値下げを訴えることによって、大衆の支持、世論のバックアップを手に入れて、
デジタルを扱う企業や団体に介入していく。これは菅さんが繰り返し使ってきた手法です。
・・・(中略)・・・
菅さんの周囲には警察官僚がたくさんいます。世論を味方につけ、関連企業に介入し、デジタル庁を新設し、非常に効率的に情報を入手していく。
スマートフォンの利用などによってデジタル化された個人情報を効率的に収集できるようになれば、フーコーのいう支配がより簡単になるのではないでしょうか*3。
・・・(中略)・・・そうすれば皆が服従する。そんな社会が目前まできているのです。