宗教と科学

石井ト
  1. イントロ
    人々を幸せにするのが仏教の教えなら、過去において仏教世界に科学という分野が抜け落ちたのは何故?という疑問が生じる。 何故なら、科学は人を幸福にすることもあるからだ。勿論不幸にすることもあるが。
    だが、幸せの可能性があれば、少なくとも、その欠片くらいはあっていいはず。 その社会の公共財として。・・・だが歴史からはその気配さへ感じることができない。だから、そのわけを考えてみた。及ばずながらだが。
  2. 仏教世界の弁解
    では、科学は人を不幸にすることもあるということが、分かっていたからという弁解が成り立つだろうか。 結果は、弁解できないというものだ。
    何故なら、古来仏教世界が科学を実践した事実はないのであるから結果も無いからだ。結果も無いのに結果を語ることはできない。
    また、仏教の基本思想である「因果の道理」を適用しても、科学を応用したという因がないから果もなかったのだ。
    従って、科学未発見について科学は人を不幸にすることもあるとの論旨での仏教世界の弁解は成り立たないことになる。 即ち、仏教世界は科学を発見できなかったのだ。
  3. 宗教と科学の親和性調査
    上の疑問を解決するため、宗教と科学の親和性をキリスト教と仏教の場合について調べてみた。 結果は、次の通り。
    1. イエスの復活のような奇跡をイエスが神である証拠とするので科学とは相容れない。奇跡は非科学的というわけだ。
    2. 仏教は「因果の道理」を根幹として教えが説かれているので科学と親和性がある。
  4. 歴史的事実
    科学は西洋キリスト教世界において発達し、仏教世界はその後塵を拝したというのが歴史的事実である。
  5. 調査結果と歴史的事実の間の矛盾解消
    4の歴史的事実から3の調査結果は当てにならないとなる。 何故なら、仏教世界は、「因果の道理」の因と果を素直に結びつけたため、科学的手段という解決策があることに気がつかなかったと思われる。
  6. 仏教世界が科学を発見できなかった原因(仮説)
    西洋キリスト教世界が科学を発見し、仏教世界は発見できなかった原因は何か?考えてみた。 恐らく、「言葉化」への民族的習性の違いだろうと思う。 「言葉化」とは、論理的な思考を言葉に表すことをいう。科学精神と言ってもいい。
    1. 西洋キリスト教世界では、旧約聖書創成の時代から、日常的な出来事を、正確に、即ち論理的に、言葉で表すという民族的習性を持っていた。 従って、神性の表現についてもその習性を適用し、聊か珍奇な奇跡などのテクニックを使ったりして、天地創造以降の宗教事績を皆に解るように文章化した。 それが、旧約聖書・新約聖書として今に伝わった。即ち「言葉化」(定式化のこと)に成功したのである。
    2. 仏教世界は、余りにも深い思索のため、言葉化できないものは出来ないと割り切り、代わりに修行を以て代替した。自力で悟れというわけだ。 従って、一切経七千余巻はあるものの、言葉化に失敗したことになる。 言葉化できなければ思考は個人のレベルに留まり一般化しなかった。 そのような論理性を欠いた思考体質が影響し、仏教世界は科学の発見に至らなかった。
  7. 結論
    1. 仏教世界は科学と馴染まない。原因は言葉化の不足。
    2. 科学は負の面もあるが人を幸せにする面もある。
    3. 従って、人々を幸せにするのが仏教の教えなら、親科学でなければならないはず。
    4. そのためには仏典の言葉化を為さねばならない。
    5. 言葉化とは、仏典と教えを体系化・整理し和文で表すこと。・・・多分無理かも。
    6. 無理なら、既に在るように簡約版の教義を創作するか、 現状のまま葬式や法事用として存在することに甘んずるかであろう。
  8. おまけ
    山本潤子の「500マイルス」を見つけたのでリンク張っておく。ここをクリックのこと。 山本潤子の英語発音はまあいい。だが、西田ひかるには及ばない。後のヴォーカルはイマイチ。 もう8年も前のものだが小生は初見だ。まあまあだな。PPM(ピーター・ポール&マリー)のコピーらしい。
    もう一曲、素敵なラブソングをみつけたので、リンク張っておきます。 "Before the next teardrop falls"です。ここをクリックのこと
    歌ってるマカリは、"Mr.MAKALI and FRIENDS"というパプアニューギニアのグループサウンドみたいです。 ドリーパートンのもあるが、こちらの方がソフトだから採りました。
    "Before the next teardrop falls" (ヴィヴィアン・キースとベン・ピーターズが作詞作曲)
    If she brings you happiness, 若し彼女があなたを幸せにするなら
    then I wish you all the best. それが一番だと思う
    If you're happy, あなたの幸せが
    then that matters most of all. 何より大事
    But if she ever breaks your heart, だが彼女があなたを困らせ
    if the teardrop ever starts 涙が出たなら
    I'll be there before the next teardrop falls. 次の涙が出る前に私はあなたの傍に行くでしょう

    ・・・Lyrics 'Motu'・・・
    I'll be there anytime you need me あなたが私を必要としたら
    by your side to dry away いつでも傍にいるでしょう
    every teardrop that you cry. あなたの涙が乾くまで
    And if she ever leaves you blue, 若し、彼女があなたから去ったなら
    just remember I love you 私の愛を思い出して下さい
    and I'll be there before the next teardrop falls. 傍に行きますから、次の涙が出る前に

    ・・・Lyrics 'Motu'・・・
    (註)'Motu' is a language spoken by the Motuan people of Papua New Guinea 'Motu'言葉はパプアニューギニアのモツアン人の言葉。 モツアン人はポートモレスビーのある地域に住む人たちとのこと。
    切々たる愛の歌だね。・・・こんな涙、流したことはないが、流してみたい。
    このヴォーカル、女声がBeix、男声がMakali。 Beixの声、いいね!!音程もピッタシだし、力んでない。日本人の発声とは基本的に違うような気がする。日本人のは唸ったり、力んだりするが、 彼女は難なくしらーっとこなしている。素晴らしいよ!
    Makaliのヴォーカルもいい。ソフトで厚みがあって甘い感じの声がいい。無理してないし、これも難なくしらーっとこなしている。 曲と声とギターのハーモニーもいい。
    ポートモレスビーと言えば、先の大戦で、日本軍と連合軍が戦ったところ。 縁があったのかもだ。珊瑚海もツラギもガダルカナルも近い。今は昔だね。
    この曲は、1975年リリーズのカントリー・ソング。 詳しくはここをクリックのこと
  9. 未来予測
    1. 科学
      科学は増々発展して新人類を生むだろう。新人類とは、遺伝的進化を遂げた人類と、サイボーグ型(電子チップを埋め込んだ人間のこと)の人類、から成る。 サイボーグ型新人類は、体の一部に電子チップを埋め込んだ人間をいう。 (NHKBs1で2020/7/20 24:00放送の「人類2.0 新人類の夜明け」から情報ゲット)
      この埋め込みチップに、例えば、自動翻訳ソフト、これを埋め込むと、例えば英語の言葉が自動で日本語に変換され、頭脳に直接伝わることになる。 その逆もある。これが出来れば、我々が中学・高校と6年を掛けた英語学習の時間が浮いてくる。 いきなり、文章レベルの機能にならなくても、単語だけでも自動化されれば、辞書を引いたり、憶える努力をしないで済むことになり、助かる。
      これはほんの一例だが、人類の能力を増してくれると言えるだろう。能力が増すことは人間の幸せに繋がるはず。即ち、科学は善に作用するだろう。
      だが、科学には負の面がある。遺伝子操作など神の領域への侵犯、セキュリティ侵犯、プライバシー侵犯、大量殺戮兵器、環境破壊、 などは制限されるべきだろう。
    2. 宗教
      古代ギリシアの奴隷出身のストア派の哲学者エピクテトスによれば、世の中には「我々次第であるもの」と「我々次第でないもの」が存在するという。 科学は進歩して「我々次第であるもの」は増えても「我々次第でないもの」は残る。従って、その救いとして宗教は残るだろう。 精神的セイフティーネットとして。
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