ヴィリアの歌
H29/7/23
石井ト
今日の関東は曇り、気温も30度程度で、我が家の二階の書斎も涼しい。
こんな時は、音楽でも聴きたくなる。それでネットを探してみた。
発見したのは、レハール作曲の喜歌劇「メリーウイドー」の中の挿入歌「ヴィリアの歌」だ。
この曲は、以前にも取り上げた記憶があるが、名曲だけのことはあって、暫くするとまた聴きたくなってくる。
それで、今回もいろいろ聴いてみた。この曲は世界的に有名だから、色んな歌手が歌っている。例えば、マリア・カラスとか、エリザベート・シュワルツコップとか、
他にもいっぱいカバーされている。
そんなのを20曲くらいも聴いただろうか、その中から、ルチア・ポップのを選んでみた。
ネットで聴く場合、録画の良し悪しが大きく影響してくるのだが、矢張り、歌い手の実力が第一条件ではある。その兼ね合いで選んでみたが、それが今回は、ルチア・ポップである。
小生、名前だけは聞いたことがあるが、歌声を聴くのは今回が最初で、そんな選び方をしたものである。
歌詞はドイツ語だが、画面に英語訳が表示されるので、歌の中身が覗えてより一層、この歌の良さが身に染みて分かるだろう。
ドイツ語ではね、分からないからね。桑原なら別だろうけど。
実は小生、歌詞の内容まで立ち入って聴いたのは今回が最初。結果、ますます好きになってしまった。中々メルヘンチックなラブソングの名曲だと思う。
ここをクリックしてください。ルチア・ポップの"Vilja"リートです。よかったら、聴いてみてください。
歌詞を書き出しておきます。英語訳のを。
There once was a Vilja, | 昔ここにヴィリアがいた |
A maid of the wood, | 森の乙女だ |
A hunter espied her | 一人の猟師が彼女を見つけた |
Alone as she stood, | 彼女が一人でいるところを |
The spell of her beauty | 彼女の美しさの魔力が |
upon him was laid; | 彼を襲った |
He looked and he longed | 彼はその美を見そして憧れた |
for the magical maid! | 魔力的な乙女に |
For a sudden tremore ran | 突然、身震いが走った |
Throughout | 彼の体の隅々まで |
the love-bewildered man, | 彼は恋に当惑し |
And he sighed | ため息をついた |
as a hapless lover can: | 不幸な恋人がするように |
| |
"Vilja, O Vilja | ヴィリアよヴィリア |
O witch of the wood! | 森の精 |
Would I not die for you,dear. | 私は貴女のために生きたい |
if I could? | それが可能だろうか? |
Vilja, O Vilja, | ヴィリアよヴィリア |
my love and my bride!" | 私の恋人にして花嫁よ |
Softly and sadly he sighed. | 優しく悲しげに語りかけた |
| |
The wood-maiden smiled, | 森の乙女は微笑んで |
but no answer she gave, | 答えないまま |
Just beckoned him into | 彼を手招きし |
the shade of the cave; | 洞窟の入り口に招き入れた |
The lad had not known | 少年は知らなかった |
of such rapturous bliss, | このようなうっとりするような幸せを |
No maiden of mortals | こんな生身の乙女は誰も知らない |
so sweetly can kiss! | こんな甘美なキスができる乙女など |
As before her feet he lay, | 彼女は足を休める間もなく |
She vanished in the wood away, | 森の奥に去って行った |
And he called | 彼は彼女を呼び続けた |
vainly till his dying day: | 空しくも、彼に死が訪れる日まで |
| |
"Vilja, O Vilja | ヴィリアよヴィリア |
O witch of the wood! | 森の精 |
Would I not die for you,dear. | 私は貴女のために生きたい |
if I could? | それが可能だろうか? |
Vilja, O Vilja, | ヴィリアよヴィリア |
my love and my bride!" | 私の恋人にして花嫁よ |
Softly and sadly he sighed. | 優しく悲しげに語りかけた |
歌はドイツ語で歌われてるが、ドイツ語はからきしなので、英語訳の歌詞と邦訳を載せておいた。
訳詞は下手くそだが、言ってることは概ね分かってもらえるかな、と思って書いておきました。
森の精霊、というキャラクターは、その伝説も生まれた地域に住む人々にしかわからないので、訳文もずれてるかも知れない。
だが、察するに、伝説では、森で精霊に出会ったら死ぬ、というのが自明のことであったかのように感じられた。
美と死、利益相反するような概念のセットがロマンと究極の愛を強烈に訴えかけているように思う。・・・たとえば情死のように。
もう一曲、同じく、喜歌劇「メリーウイドー」から、二重唱「唇は黙して」を聴きましょう。この曲は、「メリーウイドーワルツ」としても知られた名曲で、
"vilja-lied"と双璧を成すものです。ここをクリックしてください。
ディアナ・ダムローのソプラノが素敵。少し太り気味なのが頂けないが、声は柔らかい。ジョナス・カウフマンのテノールも素晴らしい。
途中でワルツを踊るのもいい。最後のキッスは余計だが。
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