ベートーベン7番交響曲異聞

石井ト
一昨日の11日は日曜でだったが、夜の9時からNHKEテレで「クラシック音楽館選」という番組をやっていた。 初め、少しチャネルをそこにして聴いたら、ベートーベンのピアノ協奏曲3番をやっていた。弾きてはチョ・ソンジンだ。
チョット聴いただけで風呂に入るためもあって聴くのを止めた。
その後、大分たってから、もう一度チャネルを戻したら、ちょうど、 指揮者のサロネン(エラ・ペッカ・サロネン:フィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者)がインタビューを受けてる場面で、 面白いことを話していたので、そのことを記してみます。
面白いと思ったのは、次の2点。
  1. このベートーベン7番交響曲は、リズムが際立つ交響曲で、別名「リズム交響曲」とでも言ってもおかしくない、と話していたこと。
  2. この交響曲の第2楽章は、スケルツオ(イタリア語で「冗談」を意味する)でもいいくらいの楽章で、特徴的なのは、よく聴くと、 低音部で「ウハウハ」と唸る音がするが、あれは、酒場で酔っ払いが「ウハウハ」と唸るのを音にしたように感じられる、と話していたこと。
それを聴いて初めて聴く話だったので新鮮だった。具体的には次のようなことだ。
  1. 「リズム交響曲」というサロネンの話を受けて、聴きなおしてみたら、成程と頷けるものだった。流石に音楽家、それも、世界的に有名な指揮者だと感心した。 それまで、そんなこと思いもしないで漫然と聴くだけだったからである。
  2. 酔っ払いが「ウハウハ」と唸る、という話を受けて、第2楽章を聴きなおしてみたら、 成程と頷けるような気がした。・・・だが、思ったのは作曲家って、 ただ黙っていてメロディが浮かんでくるのではなく、作曲に当たっては、何か身の回りの出来事を見たり聴いたりして、その出来事を模して音にするのかな、と思ったこと。 ・・・そこまでは、素人でも玄人でも解る話だろうが、ベートーベンが凄いのは、酔っ払いの唸り声をメロディに変換する仕方が並みじゃない、ということだろう。 ・・・酔っぱらった気分でこの楽章を聴くと、酒場の情景が浮かんだりして面白いと思うよ。今度K君に訊いてみなくちゃ。
  3. 出来事を模して音にするといえば、ベートーベンの「トルコ行進曲」が浮かんでくるよね。 それは、当時の東欧の強国オスマントルコ軍の行進を音にしたものだったのだから。
  4. となれば、話はオスマントルコ軍の軍楽に興味が移る。
    ウイキペディアに依ると、
    • メフテル(トルコ語: Mehter)とは、オスマン帝国とトルコ共和国で行われてきた伝統的な軍楽のことで、オスマン軍楽、トルコ軍楽とも称される。 また、軍楽隊をメフテルハーネ (Mehterhane) と言う。
    • 軍楽隊はヨーロッパへの遠征にも随行したことから、西欧の各宮廷にも知られることとなった。モーツァルトやベートーヴェンの「トルコ行進曲」は、 メフテルの音楽を意識して作曲された楽曲である。また18世紀前半には、西欧諸国も軍楽隊を持つようになったが、その起源はメフテルを真似たことに始まり、 現在のブラスバンドの楽器の基本編成にもメフテルの影響の残滓が見られる。
    とある。
    従って、ベートーベンの「トルコ行進曲」は、メフテルハーネの音を響かせながら行進するオスマントルコ軍を音にしたものだったことになる。 メフテルハーネの音聴いてみますか。ここをクリックして下さい
  5. 面白いのは、今ではどの国にでもある軍楽隊の起源がオスマントルコ軍のメフテルハーネ にあったということ。私は何となくだが、帝政ローマ時代のローマ軍辺りが起源かなと思っていたからだ。
  6. となれば、歴史上この世で一番音楽を利用したのはキリスト教かと思っていたが、どうやら2番目くらいにオスマントルコ軍がいたことになる。 ・・・そして3番目くらいにいたのは多分、ハリウッド映画だろうか。
 
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