杏の花
石井俊雄
我が家の塀際にへばり付く様に立つか細い杏の木があるが、今年も花芽の蕾が膨らんだ。(写真参照)
インターネットの百科事典である「ウイキペディア」によると、
「アンズ(杏子/杏、学名 Prunus armeniaca)は、ヒマラヤ西部〜フェルガナ盆地にかけての地域を原産とする、
バラ科サクラ属の落葉小高木である。アプリコットと英名で呼ばれることもある。
別名、カラモモ(唐桃)。中国北部で形成された東洋系の品種群には、ウメとの交雑の痕跡がある
このように、紹介されている。
品種はいくつもあるようだが、我が家のは花芽の色から「ハーコット」というカナダ産の品種のようだ。
糖度が高く生食に適と記されている。
そう言えば、去年は2個の実が育ち、ジャムにしたら酸味の豊かな硬めの美味いジャムが自製できた。思わぬ展開だった。
その所為で今年は少々施肥などしてきたがどうだろう。
出来れば、両手くらいはと期待しているのだが。
ところで、和名は「カラモモ(唐桃)」と呼ばれたこともあるそうなので、古の和歌など調べてみたが、
「からももの花」を物名(もののな)として一首が古今集にあった。それを書いておこう。
逢うからもものはなほこそかなしけれ
別れむことをかねて思へば
作者は、清原深養父。歌意は、
「逢いたい人に逢えばその瞬間になんとない悲しみがいっそう深まるのは、やがて別れがあるということを、その時すでに感じているからなのだ。」
というもの。
この和歌は、物名(もののな)を三十一文字の中に組み込むという遊び心の和歌のようだ。
ちなみに、「うめ」物名(もののな)では、
あな憂目(うめ)につねなるべくも見えぬかな
恋しかるべき香はにほひつつ
作者は「読人しらず」とある。歌意は、
「ああ情けない。この花が人を永遠に楽しませてくれることはないのだ。散った後に、思い出になるようないい匂いをさせてはいるのだが。」
というもの。
深養父といえば、百人一首の和歌が有名。それを書いておく。
夏の夜はまだ宵ながらあけぬるを
雲のいづこに月やどるらむ
春もいいが夏もいい、杏ジャムも頂けるだろうし。
皆さんへのメールの案内で思いつきの俳句を書いたが、それに下の句を付けよう。蘇軾の有名な漢詩から本歌取りだ。
若木の杏つぼみて春来
老柳は緑花は紅に
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