思い出

石井俊雄
6月4日(火)、長洲港で陸に上がった私どもは、一路一般道を佐賀を目指した。
1時頃、佐賀に着き、予定より少しはやいので、その時間、約45分間を利用して佐賀の思い出の場所を巡ってみた。
 
ここはポンポン堰。
「昔、多布施川から松原川へ水を引き込む引き込み口がここにあり、 水の中から空気が出る音がしてた。」と記されたプレートがあった。
そんなことより、子供の頃、ここでよく泳いだものだ。
そのころはもっと深くて、水が引き込み口から勢いよく湧き出していた。
そこで泳ぐのが夏休みの定番だったな。懐かしい。それで、ここを訪ねてみたわけだ。 今は往時の恐いほどの水量も、木陰も無い。 明るすぎるという印象。昔はもう少し薄暗かったように思う。
 
 
ここは、附属小学校。 守衛と先生に理を言って学内に入った。
「我々の頃は木造校舎だった」
と言えばOKだ。断る理由はない。 何しろ大先輩なのだから。一見人品卑しからずだし。 K君なら、親父が校長だったと言へばいい。
ここは付属小学校の校庭から北方向に校舎を見たもの。 校舎そのものは、我々が学んだころの木造平屋建てから鉄筋コンクリート3階建てに換わっていて、全然面白くない。
ただ、写真に写る楠木は往時のもの。懐かしい。 この木に模型飛行機を引っ掛けた悪餓鬼どもが何人涙を飲んだことだろう。 でも、今は懐かしくも愛おしい。 20年くらい前までは、校庭の片隅に体育用具の倉庫があったが、それも立派なプレハブに換わっていた。 かくて、目は古きを探して辺りを彷徨い緑葉陰を為す楠木に至って留まるのだ。安らぎを見つけたかのように。
"sun rise sunset sun rise sunset swiftly fly the year"だね。
 
 
1年生の教室の中を外から撮らせてもらった。我が後輩どもだ。丁度お昼のお弁当の時間だった。
窓から顔を出してる生徒に訊いた、「君たちは何年生?」
生徒、「1年生」と言う答え。
更に、「1年生は何組あるの?」と訊いた。
生徒、「3組」とのこと。
 
 
これは2年生。
「先輩だぞ!」と名乗り、
「クラス何人いるの?」と訊ねたら、つぶらな瞳で応えてくれた。
「35名」と。
「何組あるの?」と訊ねたら、
「1年生から6年生まで夫々3組」とのこと。
そして、逆に訊かれてしまった。
「何名だったの?」と。
思わぬ逆襲に、こちらは回らない頭が真っ白に。
慌て気味に答えたものだ。 「うーん?35名くらいだよ!」と。
でも、後で考えていたら30名ほどだったようにも思うがどうだったかな?・・・後の祭りだが。
皆、はきはきして立派な子供たちだ。 立派な制服を着ておった。スカートの一本線も昔のまま。 でも、我々のころは、裸足、思い思いのよれよれ服、出来の悪いのが多勢に無勢、そんなだったのに今は大違いだ。
この子たちを見てるうちに思ったことは、矢張り佐賀顔というのがあるのではないだろうかということ。 何処と無く、皆、整っている。憂いも無い。 一目見たとき、顔そのものが嫌味なくすーっと目に入り込んでくる。 関東ではそんなことはない。どこかでフィルターに引掛て嫌味が脳を駆け巡るのだが、佐賀ではそんなことはない。 天真爛漫、太陽をいっぱい浴びた健康そうな顔ばかり。輝いている!という印象だ。
この、嫌味なくすーっと目に入り込んでくるというのは、子供時代の経験の為せる業なのだろうか。 それとも、実在物が放つ映像の為せる業だろうか。 別な言葉で言えば、心理的なものだろうか、それとも物理的なものだろうか?となる。 皆さんにはそんなこと感じることはありませんか?
兎に角、こちらも元気をもらっちゃいました。そして、矢張り人材は地方から育つのだと思い、心強く感じたことでした。
東京の子を見てると、どこか元気ないのだよね。横道坊はいないし。線が細いし。老成したようなとこがあるし。どこか女性的だし。
そう言えば江戸っ子、これは長谷川一夫演じる銭形平次的な意味で捉えがちだが、実際の江戸っ子はそんなのではない。 むしろ、狭い家々がびっしり建て込んだ狭い空間を如何に生き抜くかに腐心する面々のことだ。
東京っ子もほぼ同義、・・・都会からは人材は出ないと思う。
「頑張れ!悪餓鬼ども!」と念じながら校庭を後にしました。
 
 
佐高正門の門柱の前にて。
今は、南面に正門が移ったが、昔は正門を飾ったこの門柱は、裏門とも就かない風情で建っておった。
「佐賀県立佐賀高等学校」のプレートはそのままで。
三脚がないので、車内のシートの上にカメラを置いてセルフタイマで撮ったもの。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
コメントはこちらへメールして下さい。その際、文中冒頭に「HPコメント」と記して下さい。 Email

<コメント欄>   当欄は上記のメールをコメントとして掲示するものです。
 
 
 
 
 
 

  • アップデート:25/6/8    [Return]