五月の風

H25/5/21
石井俊雄
ナデシコを3鉢買った
ナデシコは初夏の頃咲き
夏は休んでまた秋に咲き
冬は休んで春にまた咲く多年草
花屋の主人の講釈だ
茅屋(あばらや)の葦(よしず)の陰に置いたら
五月の風が吹いてきた
ナデシコは直っくと立つから好き
可憐で繊細なのも
ネーミングも
まるで人気がないのも
万葉集に載ってるのも
五月の風にのって自転車を駆る
女学生のように軽やかなのも
 
四十年も前 田舎から
母が移植(うつ)した蕗を摘んだ
お袋の思い出が蘇る
故郷の香もするようだ
俎上に載せて食っちゃおう
一本一本噛締めて
五月の旬の幸せを
蕗を水に晒して俎上にのせるとき、香、手触りを感じることが出来る。
香が素敵だ。蕗独特のなんとも言えない芳香がする。
手触りは心持だが固いのがいい。端の方を手に持つと、もう一方の端までつんと真直ぐに伸びるのがいいのだ。ぐにゃーとしたら幻滅だ。
この香と手触り辺りから食事は始まっていると思う。 「調理する人は幸なり」だな。
 
 
 
 
 
 
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