解説
野中君の句、「困ったもんだとオーヘンリー」について、解説文を頂戴していますので、
転載させて頂きます。
O・HENRYの短編小説に「最後の一葉」(THE LAST LEAF)があります。
粗筋を言いますと、アメリカのある古いボロアパートに2人の女画家が住んでおり、
ある嵐の夜にそのうちの一人が重い肺炎となり医者にもう助からないと告げられます。
気落ちした病人は、隣のレンガ建物の蔦が風に吹かれて落ちてゆくのを見て
自分もあの枯葉のように死ん逝くのだと思うようになります。
嵐の次の夜蔦は最後の1枚に成っていましたが、
これを見て患者は最後まで頑張ると気力を回復しますが、それはこれを聞いた隣に住む売れ
ない老画家が嵐の次の夜、雨に打たれながらレンガに渾身の思いで壁に蔦の一葉を描いていきます。
患者はこれを見て気力体力を回復することとなりますが、老画家は畢生の蔦の絵を書いた後、
3日後に肺炎でこの世を去ります。
以上が粗筋ですが、12月の川柳連歌の「吹かれても梢に縋る枯葉かな」
を詠んで何時までも枯葉が落ちなければ、作者のO・HENRYも同時代に生きていれば傑作を
モノにできず困ってしまったのではないかと忖度した次第です。