後期高齢者アメリカ東海岸一人旅(1)

2015年5月26日 魚住秀男
期間 2015年4月16日〜28日*
アメリカへは現役時代の30年ほど前に何度か行った事があるが、アメリカ発祥の地である東海岸地方にはいく機会に恵まれなかった。
一度は行ってみたいと思い続けてきたが、一人で動けるうちに行こうと思い立ち、ボストン、フィラデルフィア、ワシントン、ニューヨーク訪問を計画した。
航空券はツアー会社に頼み、ツアールートのEチケットを全て事前に入手した。
宿の手配はインターネットで、出来るだけ安い所を探し予約をした。予約にはクレジットカードNum.が有ればOK。支払は現地でOKと思ったが、ニューヨークだけは事前に部屋代と利用税を取られたので、未だ利用してないのに取るのはおかしいと問い合わせたら、ホテルのマネージャーよりメールで二重取りは無い。ホテル滞在時に食事など利用した場合はその代金のみ支払えばよいとの連絡。そのホテルの名はHILTON。
米国入国にはVISAが必要。観光目的などはESPAを取ればよい。米国大使館のホームページにアクセスし、手順に従って必要事項を入力し、17ドルを支払う。
大使館が17ドル入金を確認したら、登録完了。ESPAは2年間登録日より有効。
これで事前準備は全て完了。あとは荷物を纏めてスーツケースに詰め、出発するだけになった。
  1. 4月16日(木)
    中部国際空港より成田経由でボストンに向かった。ボストンまでは14時間のフライト。久ぶりの長時間フライトだったが、映画を2本見たり、居眠りしてるうちに夕方の6時過ぎにローガン国際空港に到着。さあ入国手続きだ。入国事務所に入ると係員が「VISA? ESPA?」と一人一人に聞いており、「ESPAだ」と云うとこっちの列に並べと指示された。日本人を含め多くの人が並んでいた。先頭近くになると別の係員が5人ずつATMのような機械の前に連れて行き、各人操作して必要な手続きをするように指示。入力する項目は名前や税関項目、旅行の目的など簡単なものである。最後にパスポートを挿入すると正面のフラッシュライト装置が上がって来て、写真撮影。顔写真の入った書類が出てくるのでそれを持って次の列に並び、審査官の審査を待つ。簡単に目的や宿泊先を聞かれて無事終了。機内で書いた税関審査表はその後集めていた。二重チェックする必要があるのか?
    空港で預けたスーツケースを受け取りにBAGEGE CLAIMに向かう。兎に角アメリカの空港は広いので目的地まで歩かされる距離が長い。日本の空港とは大違いである。スーツケースをゲットし、宿に行くため地下鉄シルバーラインに乗る。ボストン中心部までは無料である。
    South Station迄行き、そこで別の路線への乗り換えが必要である。30分ほど走ったが見落としたと思って隣の人に聞いたら次がSouth Stationと教えてくれたので安心した。駅に着いたので降りようとしたらその人が私を止めて「御免、一つ間違えた。次だ」と言ってくれた。
    South Stationについたら、ここが終点で、慌てることは無かった。次に乗るべきレッドライン線はすぐ近くで、改札なしでホームにいけた。やがて電車に乗り、車掌が来たら切符を買おうと思ってるうちに降りるべき駅に着いたので降車。清算機を探して駅舎に降りたがどこにも見当らない。
    そのうち出口と表示のあるところに来たのでそばに立ったら自動扉が開き、外に出ることができた。結局タダ乗りに成功した訳である。小さな駅なので駅員は一人で、何も注意されなかった。
    宿の位置は大体分かっていたが念のため駅員に聞いたら、親切に駅の外まで出て、あそこに見えるのが宿だと教えてくれた。親切に感謝。
    宿は所謂ホステルでサービスはBBのみ。しかし部屋は広く、バス・トイレ付。その夜は風呂に入り、ゆっくり休んだ。
  2. 4月17日(金)
    いよいよ市内見物に。ボストンは古い町で起伏も結構あるので歩きを主体にした行動になった。先ず水陸両用車で市内を巡り、チャールズ川に入り、ハーバーを遊覧するダックスツアーに参加すべく、South Station近くの出発地点をめざした。
    案内図片手にボストンの真ん中にあるアメリカ最古の公園、ボストンコモンを目指した。暫く行ってから、どうも道が違うと思い、通り掛かった赤ん坊を連れた夫婦に聞いたら、戻った方が良いとのことなので宿近くまで戻り再出発。30分ほど損をした。
    一区画の長さが日本より大きいので、地図で想像したより時間が掛かり、ボストンコモンに着いた。公園内にはランニング姿の人が大勢居り、ボストンマラソンかと思ったが、休日に運動を楽しむ集いのようだった。公園を横切り、ツアー出発点に向かう。チケット売り場を見つけ、チケットをゲット。暫くバスの中で待たされる。雨模様だったので暫し休憩。そのうちお客が増えて来て、満席になって出発。お客は英語圏以外の人もいたが日本人は小生一人。先ず市内の史跡を案内されたが車内から見るだけなので、ガイドの早い英語では分かり難い。俺の英語力もこんなものかと再認識させられる。市内見物が終わるといよいよ川の中へ。スロープを車輪で下りながら水にだんだん入って行き、車体が浮いたらスクリューを回し航行。ゆっくりした速度で港を一周。船上からの眺めも美しいと書いてあったが、ビル群や大きなブリッジや戦艦などが見えるだけで、驚く程のことはない。やがて上陸し、出発点に戻り一時間ほどのツアー終了。昼に近かったので食事でもと思ったが周りには何もなし。そこで午後に予定してたボストン美術館に行くことにした。タクシーをと思って少し歩いたら、ホテルがあったのでそこでタクシーに乗車。アメリカで初めて乗った車はカムリであった。元トヨタマンとして嬉しくなり、車はどうだねと聞いてみた。運ちゃんは30代の白人で、「調子良いよ。友人と二人で交代しながらほぼ24時間動かしてるが全く心配なく動いてくれる。運転手仲間でもカムリは評判良いよ」と答えてくれた。感激!!!
    美術館はとにかく大きく、美しい建造物である。入口で手荷物検査があり、入場料を払って中に入る。先ず、喫茶店で大きなハンバーガーを食べて,腹ごしらえ。
    アメリカ3大美術館の一つで、地域別、時代別に展示されている。絵画ではゴーギャン、ルノアール、モネ、セザンヌ等、昔図鑑でしか見たことが無いものに続々と会える。じっくり見たいが展示場は地下を含めて4フロアーあり、出来るだけ多く見たいので急ぎ足になる。肝心なものは写真撮り。展示物はエジプト、ギリシャ、ローマ、マヤ等数えきれない。地下で浮世絵を見た。あるはあるは歌麿、北斎、春信、写楽等有名浮世絵師の作品が一杯。当館所蔵は5万点以上で世界一である。
    他にも国宝級の絵巻物、屏風絵、仏教美術もあり。日本でなく、ここで厳格に所蔵されていることは良い事か?
    閉館前に一応見終わったが、また来ることはないと思うと、何か貴重なものを見落としたのではないかと少し不安になった。
    宿に戻ろうと思い、地下鉄の駅が近くにあったので歩いていく。ここも改札口は無く、自動販売機も見当たらない。列車に乗り込み、途中乗り換えて目的駅へ。昨日降りた駅なので同様に外に出る。これで2回目の無賃乗車。
    夜はシーフードを食べようと思い、宿で近くにレストランは無いか聞いたが、ウオーターフロント近くに沢山あるのでそこまで行った方が良いと言われ、歩いて行く。それらしい店を見つけ行っていくと店員がディナーかと聞くのでそうだと答え、テーブルに案内される。メニューを張り切ってみたが、色々書いてあり、日本のようにサンプルや写真が無いので、中身が良く理解できない。そのうちロブスターの字を見つけたのでこれだと思い、注文する。暫くしてクラッカーとペイストが来た。前菜と思い食べだしたが、何時までたってもロブスターが来ない。ウェイトレスを呼んでロブスターは未だかと聞いたら、あなたが注文したのは今食べてるものだ。ロブスターはペイストに入っていると云う。ああ何たる不覚。改めて俺が食べたいのはカニやロブスターを丸ごと蒸らしたものだと伝えたら、そんなものは当店に無いと言う。じゃあ何があるかと聞けばサイコロ・ステーキならある。仕方なくステーキを注文する。何とか腹は収まったが、シーフードを食べそこなった悔しさが残る。
    明日はフィラデルフィアへ。
  3. 4月18日(土)
    フィラデルフィアへの出発は午後なので、それまでの時間を使って史跡探索へ。
    ボストンには、自由の国アメリカ建国を目指して、頑張った先人の史跡がフリーダムトレイルとして残されている。
    ボストンコモンの観光案内所から4kmにわたり、史跡を結んで赤い線が道路にひかれている。それを辿って、史跡の説明をしてくれるツアーがあるので、参加する。案内所前に行くと個人旅行の人達が三々五々と集まってくる。5~10人になるとガイドが「ボストンへようこそ」と挨拶から始まりツアー開始。
    ガイドはフリーダムトレイル財団の会員で、植民地当時の衣装を纏い、ボランティアでやっている。
    説明の詳細は分からないが、州議事堂、パーク通り教会、グラナリー墓地へ。墓地には建国のために戦った愛国者たちが埋葬されている。ベンジャミン・フランクリンの両親の墓とかサミエル・アダムスの墓など。
    暫く行くとベンジャミン・フランクリンの立像があり、その近くにボストンラテン学校の跡地がある。この学校がアメリカで建てられた最初の学校で、どんなことを教えたのかと想像してみる。午後の出発が気になるのでここらでツアーを切り上げ、宿に戻る。
    正午ごろ、チェックアウトし、駅に向かう。今回は無賃乗車は不可能なので1.5ドルでチケット購入。South Stationで乗り換え、空港へ。
    カウンターに行くと、手続きは各自機械でやるようになっており、Eチケットの控えを出して機械の前でさてどうやるのかと思案してたら、親切な航空会社のおばさんがどれどれとやってくれた。やり方は分かった。出てきた搭乗券を持って、スーツケースを預けようとカウンターに行くと、25ドル必要という。一瞬、「えー」と思い、日本ではタダなのに!
    仕方なく25ドルを払おうとしたら、「ここはクレジット専用、現金は隣り」と。現金専用カウンターに行って、手続きを済ませ、スーツケースに付けるタグを貰う。そこで引き取ってくれると思ったが、「50m先に預けるところがあるから、そこまで持って行け」と。そこには荷物検査用検査装置があり、おじさんが一人荷物を整理していた。
    アメリカはサービスの良い国と聞いていたが、来てみると大違い。お客さんを有効に使い、従業員は出来るだけ少なくし、原価上昇を抑える工夫をしているとしか思えない。日本もいずれこうなるかなあと少し心配になる。
    搭乗口に向かう。入口で手荷物、身体検査。上着、ベルト、靴、ポットの中身を検査箱に入れ、待っていると「ポケットが膨らんでいるがなんだ?」と聞くのでティッシュだと見せるとそれも検査箱に入れろと指示。身体検査は検査機の中で両腕を上に挙げてると、センサーが周りをくるっと回って360度チェック。OKでこれで終わりと思ったら、検査官がお腹を押さえたり、腰の周りを手でチェック。これでやっと搭乗出来る。検査は日本より徹底してる。搭乗券に書いてあるD搭乗口を探す。係員に聞いたら、「真っ直ぐ行くとベーカリーがあり、その奥にC搭乗口があるので、そこからシャトルバスに乗ってD搭乗口に行きなさい」。時間があったのでベーカリーで昼食をとってからDへ移動した。搭乗時間になり、乗客が動き始める。搭乗順は日本と同じで後部座席の人からだが、座席を四つのゾーンに区切り、ゾーンNum.は券に記載されており、ゾーンごとに搭乗。国内線なのでサラリーマン風の人が大勢いる。彼らは手荷物のほかに比較的大きな荷物も一緒に持っている。それらは棚や足元には収まらない大きさなのでどうするのか興味があった。やがて乗降ブースを通り機内に入ろうとすると先ほどの手荷物が並んで置いてある。なるほど機内には持ち込まないのか。しかしどうやって運ぶのかなあと見て入ると空港係員がそれらの荷物を一つ一つ運びだし、機内の貨物置き場に積んでいる。なるほどこれなら、25ドル払う必要もないし、降りるときもすぐに持って行けるので効率が良いなと感心。あとで聞いたがこれらの荷物は航空会社が決めた社内持ち込みの限度大きさだが、実際機内に持ち込まれると迷惑するので、航空会社がサービスでやっているとのこと。機会があれば小生もまねしよう。
    約一時間のフライトでフィラデルフィアに夕刻到着。スーツケースを取りにBagage Claimに向かう。空港内を30分位歩いてやっとゲット。疲れたのでタクシーで宿を目指す。着いてみると倉庫街のような所で、安いからと諦めて中へ。チェックイン済ますと枕カバー、シーツ、かけ布団カバーを渡され、「場所は3階です」と。エレベーターは無い。入口の暗証番号を押し、3階への階段へ。階段は狭く、スーツケース、手荷物、シーツなどを持っては上がれそうにないので、スーツケースを先ず揚げたがかなり汗をかいた。男性用大部屋の暗証番号を押し、中に入る。中は元倉庫だった所に金属製の二段ベットを2個づつ10組ほど並べてあり、かなりのベットが使用中。空きを探してシーツなどをセットする。客は若い人が殆ど。荷物はベットの周りに置くしかない。バス・トイレは共用。暫く休んで、夕食取に近くのレストランを探す。タイ風レストランで何とか腹を満たす。帰りにコンビニで朝食用のパンと水を購入。
*この期間の旅行計画については、「2015米国東海岸旅行計画」を参照ください。
コメントはこちらへメールして下さい。その際、文中冒頭に「HPコメント」と記して下さい。 Email
 

<コメント欄>   当欄は上記のメールをコメントとして掲示するものです。
桑原峰征
二年前まで、闘病メールの交歓?をしていた魚住君、生命力溢れる旅行記に感嘆!
今秋の再会が楽しみ。
(2015/7/12 14:23)
魚住さんの旅行記拝見
副島茂
魚住さん!、この度は見事に健康を取り戻して、夢のアメリカ東海岸の旅を無事に実行され敬服の至りです。
おめでとうございます。私もあの辺りはビジネスで一度だけいきましたが、スケジュールに追われゆっくり 出来ませんでした。魚住さんらしい詳しい説明で有難く感謝しています。次回も楽しみにしています。
是非一度、魚住さんのガイドで八期会の海外旅行をしてみたいですね。皆さん如何ですか。
(2015/7/13 12:56)
HPコメント
三井所清典
魚住秀男君の勇気と行動力に大感動です。
よくぞ大冒険を成し遂げたと思い、おめでとう、万歳と心の中で叫びました。

私には絶対できないことですが、魚住君は異国での障碍の一つ一つを丁寧にしかも軽々と乗り越え、 それを楽しんでいたように思います。なんと素晴らしいことか。

私は突き上げられるような、ものすごい衝撃を受けています。
揺さぶられるような、激しい力を注入されました。

魚住君のボストン美術館の話で思い出したエピソードを紹介します。

佐賀県立九州陶磁文化館の設計が終わった時、有田町からボストン美術 館館長宛に寄附を依頼する手紙を 出したことがありました。企画したのは今は故人となっている青木類次 有田町長と香蘭社の深川正社長です。
私はこんな依頼状で寄附をいただけるのかと尋ねましたら、深川さんは 寄附なんかいただけませんよと答えられました。
納得できない顔をしている私に深川さんは続けて、ボストン美術館には 古伊万里をはじめ世界中の立派な陶磁器のコレクションがある。
九州陶磁文化館が将来展示会を企画する時ボストン美術館のコレクショ ンから借受けたいと思うことが必ずある。
その時のために陶磁器専門の美術館が有田に出来ることを今のうちに、 印象深く伝えておいて、将来借り易くしておきたいのですよと 説明されました。

そうしてボストン美術館だけでなく、寄附の依頼状はイギリスやドイ ツ、フランス、イタリア他の陶磁器コレクションで有名な美術館に 送られました。

寄付金は有田町民、佐賀県民、日本全国から約6億円集まりました。総 工事費が16億円でしたから、当時の有田の人々の熱意が推し量ら れます。
公共施設の実現の過程での感動的で、忘れられないエピソードです。
(2015/07/14 23:56)
RE: 「後期高齢者アメリカ東海岸一人旅」へのコメント
魚住秀男

俊雄殿

魚住です。小生の旅行記に関心を持っていただいた方が居られ、嬉しいかぎりです。 今、フィラデルフィア編を書いてますが、前半が完成したところです。

所で、旅行の話が出てますが、今回の小生の反省はもっと時間的に余裕を持つべき だったです。博物館や美術館は我々なら一日かけてじっくり見学した方が良いと思い ますよ。アメリカの博物館、大英博物館は無料ですが、アメリカの美術館は有料で す。

シニア割引はありますが。旅行するなら、春または秋をお勧めします。具体化するよ うでしたら協力しますので、連絡下さい。
(2014/07/16 13:00)
魚住君の「アメリカ東海岸旅行」について
石井浩四郎
この間まで闘病記を聞かせて貰っていたと思ったら、今度は米国一人旅ですか。勇気と実行力に感心しています。 私も常々ツアーでない個人の旅行をしたいと憧れていますが、どうにも自信がなく行けるのは精々ハワイ程度です。 航空券ッやホテルを自分で手配して計画し実行した魚住君に唯々圧倒されています。 海外生活の経験が豊富でいろんな海外の事情に詳しいと言いながら、大変だったでしょう。 文章を拝見するとホテルも相当節約されているようですし、この年でよく計画し実行されたとあらためて敬意を表します。 子供の頃、附小や中の館でリッチーや桑原君たちととよく遊んでいた「泣き虫魚ちゃん」(失礼)を思い出します。 全然違いますね。お父上の魚住先生も覚えています。
病気の方も今や全く心配ないようですから、大いに遊んで下さい。続篇も期待しています。早く見せてください。
(2014/07/18 23:25)