ハプニング

2022/6/17 石井ト
毎年、この季節になると、井の頭宅の梅、柘榴、柚子、山椒、柘植などが大きく枝を伸ばすので、ベランダや隣家の軒先や、 隣家の庭に越境するようになるので、流石の私も独りではこなしきれず息子の助けを借りて枝下ししている。
今回も、6月10日、家内も加えて3人で枝下しをした。 息子に枝下し鋏を持たせて、高所の枝下しを任せたが、思った以上にバサバサ切るので、すっきりする反面、やり過ぎの感もあった。 例えば、柚子。果実の若芽を切落とすなよと注意していたのに、気付いた時はすでに遅しで、バッサリやられていた。 文句言っても後の祭りで、・・・せっかく楽しみにしてたのに・・・なんて泣き言はいいたくないし飲み込むしかなかった。
そんなわけで枝下しは進んだが、枝下しで本当に大変なのは、切った後の後始末だ。 柚子や山椒は棘もあるし、三鷹市のごみ回収車に出すには、回収条件を満たさなければならないし、である。 それで、13日(月)、小生、その後始末にチャリで出かけた次第。
天気もまあまあで、雨もなく、スイスイ進んで行った。だが、40分ほど行ったところで、元農家らしい大きな門構えの門前に、 青梅を入れた包みを並べ売っているのに出くわした。この辺りの多摩地域では、江戸時代からの農家の末が広い敷地に大きな家を構えて悠然と暮らしているのが多い。 何しろ江戸期には、のこの辺は天領だった所為かゆったりしているのだ。年貢で言えば三公七民だったし。 そんな元農家らしい家で、自宅の梅の木に生った取り立ての青梅を一袋500円で並べてあった。 持ってみたところ、一袋1キロ以上はありそうでずっしり手ごたえ十分だ。 日頃馴染みのスーパーでも売ってるが、それに比べ粒も巨いしもぎたての新鮮味が素晴らしい。
それで、その家の主と思われる人に言って2袋買った。千円だ。だが三鷹まで自転車に載せて往復すると振動で実が傷みそうなので、 帰りまで預かってもらえないかと尋ねたところ、快諾いただいたので、夕方まで預けて行くことが出来た。 11時半頃の話である。
それから、サイクリングを再開し、井の頭宅で枝下し材の処分作業をし終えて帰途につき、この家に着いたのが18時半ころ。 青梅も無事回収することができた。
家に着いたのは19時15分。流石にぐったりだった。 風呂に入って体重計ったら55kg。不本意な値である。飯前だからと慰めたが、聊かの不安は隠せない。
その3日後の16日、梅干を仕込んだ。先ず、重さを計った。二つとも1.2kg余りで、天塩をその20%入れて仕込み終えた。 後は、水が上がったら紫蘇を入れて時々天日干しして1〜2年置く心算。
梅干にこだわるのは、梅干があれば食後のすっきり感が味わえるからだ。 食事の〆に、一口ほどのご飯を残し、それに梅干を添え熱湯をかけて食事の終わりとするのである。そしたら、食事の後味がすっきりし、 自然に食後のスイートが頂けるようになる。
また、病気したとき、梅干があれば、何とか飯が食える。仮令一口でも食えれば精神的にも希望が湧いてくる。 だから今年も梅干が仕込めてよかった。市販の梅干では塩があまくて口に合わないから。これだけの梅干があれば90位まで行けるかも。
今回の経験で、サイクリングの楽しみの一つであるハプニングが体験できてよかった。・・・サイクリング、お勧めだよ。
なお、肝心の枝下しの後始末は、まだ決着が着いてない。全部で30リットル袋で20個ほどの塵袋ができ、 回収のルールに従えば一日最大5個までなので、やっと5個がゴミ箱行きとなっただけで、まだ15個ほど残っていて大変なのだ。 棘付きのがあるし。当分、通わなければならない。・・・昔はよかった、焚火で燃やせばよかったから。 今は消防法で禁じられてるからそれはできない。
最近、テレビを見ても、ほとんどの番組に違和感を感じる。どれも好みが合わないのが多い。 思えば、私の感性が子供のころから出来はじめ、多分30歳ほどまでに完結し、以降、その状態で固まってしまったのではないだろうか。 それが例えば今回の梅干で、塩辛くない梅干は梅干ではないと固く信じていることに繋がったのかも。 映画、音楽、作家、役者、俳優、食感、センスなどの好みも同様だ。 「三つ子の魂、百までも」である。
最後に一首、
青梅出て 青梅に出会う ハプニング
青梅二袋 値千金
サイクリングの楽しみは、自由とハプニング。即ち、未知との遭遇にある。何処までやれか分からないが頑張ります。
少し、追記しよう。
三国志の諺に「青梅、酒を煮て、英雄を論ず」とあるそうだ。論じた英雄とは曹操と劉備。
ネット情報によると、
諺の中に出てくる「煮梅」というのは日本人にはあまり馴染みがないだろう。 日本人にとって「梅」とは、第一に「梅干し」であり、次に「梅酒」あたりを思う浮かべるものだろう。
だが、中国人(当時)にとって「梅」は貴重な栄養食品でもあり、病気の予防薬品となる大切なものだった。 青梅にはさまざまな天然の良質な有機酸と鉱物質が含まれ、血液の浄化や整腸作用、血中脂肪の減少作用、疲労回復効果、美容効果などがあり、身体の免疫強化など独特な栄養保健機能がある。 だが、新鮮な梅(青梅)はあまりにも酸っぱいので加工しなくては食べられない。 そこで煮て「煮梅」にするのだ。
とあった。思うに、梅って結構薬功があるようで、私の梅干好きも、千金に値することが分かってよかった。
吾老境に在り
人生 幾何ぞ
譬えば朝露の如し
せめて輪行して
偶発を求めん

青々たる青梅
薬功深々
千金に値す
求めて梅干となし
長寿を為さん
以上、曹操の短歌行からの本歌取りです。
 
 
 

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